2024年入社の就職活動が佳境を迎えている。就活コンサルタントの竹内健登さんは「職務を決めて給料を支払う『ジョブ型雇用』が叫ばれているが、実際は個人の能力ではなく、学歴主義の傾向が以前より強まっていると感じる」という――。(前編/全2回)

※本稿は、竹内健登『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』(日経BP)の一部を再編集したものです。

上位大学出身者ほど30歳時の年収が高い

いきなりですが、図表1を見てください。

この表は、転職口コミサイト OpenWorkを運営する「働きがい研究所」が、50件以上データのあった大学291校、24万6134人を対象データとして集計し、各大学出身者の年収と年齢の分布から30歳時想定年収を算出したものです(大学院は除きます)。

ご覧の通り、一般的に「偏差値が高くて、入学するのが難しい」といわれている大学ほど、30歳時の年収が高い。偏差値上位の大学に入る人ほど高い年収を得やすい、というのは、ひとつの統計的事実といえます。

お子さんの未来を考えて本書を手に取ってくださっている親御さんの中には、「お金はないよりはあったほうがいい」というのに反対される方はいないと思います。

ではなぜ、このような差がつくのでしょうか?

その答えは、「出身大学による、就職先の選択の幅」にあります。端的にいえば、東大卒の人のほうが、その他の大学の卒業者よりも給料の高い会社や仕事に就職しやすい――これこそが、私が運営する就活塾「ホワイトアカデミー」で、毎年数百人の大学生の就活指導を行ない、就活の軌跡や内定先を見ていく中で如実に感じている現実なのです。

学歴主義の傾向はますます強まっている

メディアではよく、「ジョブ型」「テクノロジーの進展やグローバル化で日本の働き方は変わった」などと叫ばれています。

しかし実際は、日本では職務を決めて給料を支払うジョブ型よりも、会社という組織に入って様々な業務を経験できるメンバーシップ型をとっている会社がいまだに主流です。なぜなら、「解雇権乱用の法理」、端的にいうと「正社員で雇ったらクビにはできない」という法律があるからです。

そのため、ある仕事を任せた際にパフォーマンスが悪くても別の仕事にアサインするなどの措置をとれるメンバーシップ型が好まれます。そしてメンバーシップ型の会社の人事は新卒採用がセットになります。

新卒採用では未経験の若者を採用して育てることが前提となっていますので、「今後、高度な業務や新しい業務を教えたときに、それをキャッチアップできるだけのIQを有した人材」が求められることになります。

IQと学歴は相関すると考えられていますので、学歴主義的な傾向はやはり変わっていませんし、むしろ昨今の複雑化・高度化した社会においてはそれが以前よりも強くなってきてさえいると私は感じています。