彼らは「手を抜く」という表現を使いますが、それは「無駄な労力を削減する」という意味であり、絶対に必要な労力を惜しむことはありません。

彼らが「手を抜く」のは、重要でない仕事や、成果に直結しない仕事に対してだけです。ほかの多くの人は、目の前の仕事をこなすことに追われ、結果的に重要な仕事から目を逸らしてしまいます。ところが彼らは、自分の時間と労力を適切に配分し、本質的なタスクに集中することで大きな成果を出し続けていました。

彼らはものごとのフォーカスの仕方が的確で、時間と集中力の配分をコントロールする習慣を身につけていたのです。

③「信頼」を得る仕組み

3つ目は、周囲からの「信頼を勝ち取る仕組み作り」です。

成果を出すためには、個人の努力だけではなく、周囲の支援や協力も必要不可欠です。しかし、その支援や協力は決して無条件に得られるものではなく、自身が信頼に足る人物であることを証明しなければなりません。

彼らは、まさにその証明を行う仕組みを作り出し、それを活用することで、周囲からの信頼を勝ち取りました。

具体的には、まずは自身の役割と責任を明確に理解し、それに対して全力で取り組む姿勢を見せることで、自身の信頼性を高めていました。また、自身の仕事だけでなく、ほかのメンバーの仕事に対しても積極的に関心を持ち、必要なときにはサポートを提供します。

それらにより、チーム全体の信頼を得る結果になっていました。

写真=iStock.com/jacoblund
※写真はイメージです

30代で役員候補になった女性の「信頼戦略」

小売業のある「できる社員」は、20代は苦労したものの、30代前半で見事に花を咲かせて役員候補に挙がっています。

彼女は、自身の成果を他部門の人たちとも共有して、仕事への情熱や専門性を理解してもらおうとしていました。自身の成果をアピールするためだけではなく、価値観を理解してもらおうとしたのです。

異なる部門の先輩社員は、「控えめな性格の彼女が仕事への思いを伝えてくれたことで、周囲の人たちが引き寄せられていった」と評価していました。

さらに、彼女は常に周囲からのフィードバックを求め、それを自身の改善に活用していったそうです。これにより、自身が常に成長し続ける姿勢を見せるとともに、他者の意見や視点を尊重する態度も示すことにつながっていました。

周囲からの信頼を勝ち取る仕組み作りは、他者との良好な関係性を築くための重要なステップであり、その結果、彼らは周囲からの強力なサポートを得られるようになり、さらなる成果を出すことが可能となっていたのです。