各企業の人事評価トップ5%社員はみな入社当初から別格の存在なのか。企業の働き方改革支援を行うクロスリバー代表で、近著『29歳の教科書』が話題の越川慎司さんは「トップ5%社員の中には、意外にも20代のときに低評価だった人も多いのです。この時期に“3つの仕組み”を身につけられるか。30代以降に花開く人と沈む人を分けるのは、この1点に尽きます」という──。(第4回/全5回)
「やる気」だけでは越えられない壁がある……
現在30代で、絶大な成果を上げ続けている人々がいます。
彼らの中には、意外にも、20代の頃は一生懸命働いていたにもかかわらず、目立つ成果を上げられずに「できない社員」と見なされていた人がかなりの割合で存在します。
彼らに共通するのは「成果にムラがあった」こと。時には仕事を力強く進め、見事な結果を残すものの、やる気が低下したときや体調がよくないときには仕事に手をつけるのが遅れ、結果的に期限を逸し、人事評価を下げる結果となっていました。
ビジネスにおいて、「やる気」は重要な要素です。しかし、それだけで十分な成果を出すのは難しいことを、これらの事例は教えてくれます。
30代で“大化け”した人の共通点
20代で「できない社員」と烙印を押された彼らが、30代に入ってから急速に活躍するようになった理由は何だったのでしょうか。それは彼らが「成果を出す仕組み」を構築し、それを活用することに成功したからです。
われわれは、各社の「できる社員」へのヒアリングを通じて、その正体を探りました。結果、大転換を遂げた人は次の3つの仕組みを作り、活用していたことがわかりました。
①「初動」を早める仕組み
最初に注目すべきは、彼らが「初動を早める仕組み」を持っていることです。彼らの仕事ぶりの一部始終を見ていくと、まず、取り組むすべての仕事に対し初動が圧倒的に早いことに気づかされます。
彼らは自分のやる気に頼ることなく、行動を開始します。これは、やる気があるときだけでなく、やる気がないときでも同様です。