「提訴することが記者の使命であると考えました」

会見では「わたしに不幸にして起こってしまった事件を自ら公にすることで同じ思いをする人が少しでも少なくなればという思いで提訴にふみきりました。それが、記者としての使命であると考えました」という記者のコメントが読み上げられた。

筆者撮影
上田清司参院議員の公設秘書からの性暴力被害を訴える訴訟を起こし、記者会見する原告側弁護団=東京都港区、2023年3月8日

二度と同じような事件を繰り返さないために、取材の現場も、社会も、報道業界各社も、今回の件について重く受け止めて、認識を改め、対策を取る必要があるだろう。

特に報道各社は記者が性被害に遭った場合は、被害者ときちんとコミュニケーションを取ったうえで、必要であれば加害者に対して抗議をし、二次被害を防ぐ手立てを講じるなど、適切な対応を取らなければならない。

世にさまざまな問題を提起するマスコミが模範となる対応を取っていなければ、世間の性被害に対する誤った認識を払拭することは難しいだろう。

今回の事件を教訓に、被害者の思いをくんで、問題の本質を報道する。まずはそこから性被害を断固として許さないという意思を社会全体で作り上げていくことが重要だ。

関連記事
幼稚園のお昼寝中、私の下着の中に男児の手が…「子ども同士の性被害」の耳をふさぎたくなる実態
だから官僚は「マスコミに書かせる」と公言する…岸田首相の「電撃訪問ダダ漏れ」が示す日本の歪んだ権力構造
ショッキングな沈黙レベル…日本で「もうジャニーズ見ない」「ファン辞めます」の動きが起きない本当の理由
「ねえ、ラブホいかへん?」夜の街で家出少女に声をかけられた牧師はどう答えたか
「悲しみの深さ」は関係ない…大切な人を失った後に「うつになる人」と「ならない人」のたったひとつの違い