ポンジスキームそのもの

取引に参加した投資家の現金は当然ながら、FTXに集まってくる。これが世間で認知されると、猛烈な勢いでFTXトークンの価格が上がっていった。

一時期は「1FTXトークンあたり85ドル」にまで暴騰、時価総額は1兆円超えとなった。

本来、親会社子会社の関係にあるアラメダリサーチとFTXは相場操縦を行う可能性があるから、つながってはいけない。

仲間内でつくった空箱のFTXトークンを系列会社(アラメダリサーチ)に買わせて価値を付けさせ、さらにそれを自分の取引所で上場させて、個人投資家に売るスキーム。

これは明確な詐欺である。よく言うところのポンジスキームそのものだ。

写真=iStock.com/kuppa_rock
ポンジスキームそのもの(※写真はイメージです)

けれども、まだこのレベルにおいては、ごく“一般的”な詐欺レベルといえる。FTXが破綻するほどではなかった。

発行しようと思えばいくらでもつくれる

次にバンクマン=フリード氏は何をしたのか?

FTXトークンは当然自社トークンだから、発行しようと思えばいくらでもつくれる。

彼はある狙いを持って、FTXトークンをFTXのバランスシートに組み入れた。

FTXトークンの価格が急上昇中ということで、FTXという会社のバランスシート(資産)がどんどん膨れ上がってきた。

この手の投機的商品は、市場にお金がジャブジャブにあふれているときには、“現金性”が高まる。つまり、現金同等の扱いがなされるわけである。

FTXという会社の中身を知らない人は、この会社は市場でいつでも売れる資産を膨大に持っていると思い込んでしまう。

実際にFTXの資産ポートフォリオの6割がFTXトークンであった。まさしくマジカルコインだ。