AI翻訳で作られた英文メールは実は通じていない…「AIの精度が低いから」ではない3つの理由
日本語の文法で入力すると誤訳になりやすい
PRESIDENT Online
2023/04/26 9:00
変な英語になる理由3.文章が長い
プレゼンテーションの指導をする際、短文にするようアドバイスすることがよくあります。繰り返し読まないと理解できない長文を機械翻訳すると、当然わかりづらい英文になります。英語に翻訳する場合は、特に短文であることが望まれます。一文が長いと、わかりづらさがどう増すのかを見てみましょう。
例1:東京都は、元年12月に策定した「『未来の東京』戦略ビジョン」について、新型コロナウイルス感染症の影響で生じた社会の変化や浮き彫りとなった新たな課題を踏まえ、内容をバージョンアップし、「『未来の東京』戦略」として結実させました。
(東京都広報2021年5月掲載文)
機械翻訳したら
The Tokyo Metropolitan Government (TMG) has upgraded its “Vision for the Tokyo of the Future” strategy, which was formulated in December 1989, in light of the social changes and new issues highlighted by the new coronavirus infection, and brought it to fruition as the “Tokyo of the Future” strategy.
この翻訳を和訳したら
東京都は、1989年12月に策定した「未来の東京ビジョン」戦略を、新型コロナウイルスの感染によって浮き彫りになった社会の変化や新たな課題を踏まえてバージョンアップし、「未来の東京」戦略として結実させました。
間違ってはいませんが、理解しづらい長文です。また、この項のテーマとは異なりますが、元年がいつの元年かを明記していないため、令和ではなく平成と誤認識しています。正しい翻訳のためには、西暦で書く必要があります。
元の日本語を書き直すとしたら
東京都は、このたび、「『未来の東京』戦略」を策定、発表しました。これは、2019年12月に策定した「『未来の東京』戦略ビジョン」をバージョンアップしたものです。新型コロナウイルス感染症の影響で生じた社会の変化や、そこで浮き彫りとなった新たな課題を踏まえたものとなっています。
短文にして、西暦で表記しました。
短い文章で書くことは日本語の作文でも重要
例2:学んだことを職場で実践したら上司から褒められ、その後も継続したら成果が出たので、今後も実践しようと思います。
機械翻訳したら
When I put what I learned into practice at work, I was praised by my boss, and when I continued to do so, I got results, so I will continue to do so.
この翻訳を和訳したら
学んだことを職場で実践したところ、上司に褒められ、続けていたら結果が出たので、これからも続けていこうと思っています。
理解しづらい長文になっています。
元の日本語を書き直すとしたら
学んだことを職場で実践したら上司から褒められました。その後も継続したら成果が出ました。ですから、今後も実践しようと思います。
短い文章で書くことは、そもそも日本語を正しく、わかりやすく書く上でも重要です。たとえば、次の文章は、どのように分けたらいいでしょう?
[例]私は職場の近くに住みたいと思ったので、昨年からマンションを探していたのですが、都心の物件は売値が高く私の貯蓄額では到底買えないことがわかったので、もう少し職場から遠くに住むか賃貸にするか、いろいろとネットで調べて検討中です。
だらだらと続く文章は、次のように、「目的・思い」「行動」「事実・現実」「行動」に分けるのも一つの方法です。