日本政府は近代的な財政運営を知らなかった

では、日本政府は、消費の低迷で困っていたにもかかわらず、何のために消費税率の引上げを二度(2014年と2019年)も行なったのでしょうか?

それは、「社会保障財源を確保するため」だと言われていました。

しかし、資本主義の下における近代政府は、財源(貨幣)を自ら創造できるのであるし、税は、政府支出の財源を確保する手段ではなく、その反対に、財源を破壊する手段です。

このことからもわかるように、日本政府は、資本主義における近代的な政府が行なうべき財政運営を知らず、封建領主のような財政運営に固執してきました。

日本経済が成長しなくなったのも、当然です。

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デフレからの脱却には財政支出が必要

もっとも、資本主義においては、政府が貨幣を創造しなくても、つまり政府債務を増やさずとも、防衛費の財源を確保する方法がないわけではありません。

民間銀行も企業の需要さえあれば、貨幣を創造することができます。

したがって、民間部門で創造されて増えた貨幣を、政府が徴税によって取り上げ、それを政府債務の返済ではなく、防衛費に充てるという方法も理論上はあり得ます。

この場合、政府は、確かに政府債務を増やすことなく、防衛費の財源を捻出することができます。

しかし、このような方法が可能となるためには、民間部門が貨幣を次々と創造し、供給している必要があります。つまり、民間企業が民間銀行からの借入れをどんどん増やし続けているという状態です。

それは、民間企業の需要が拡大し続けているということ、要するに、景気が良くて、経済がインフレ気味で成長を続けているということを意味します。

しかし、日本は、長期にわたってデフレから抜け出せなくなっていました。

デフレの時は、民間企業が借入れを増やすことは難しく、むしろ積極的に債務を減らそうとするので、民間部門が貨幣を創造し、供給を増やすことは難しくなります。

そうであるならば、デフレを脱却して、インフレ気味で経済が成長する状態を作り出さなければなりません。そのためには、政府が需要を創出して、需要不足を解消するしかないので、結局、政府は債務を増やして財政支出を拡大することが必要になります。