大阪駅は日本屈指の迷宮駅だ。特に地下街は「迷宮」、「ダンジョン」と称されるほど複雑である。立命館大学の加藤政洋教授は「梅田の地下街はコントロールされて作られたわけではない。だからこそ、多様な店、人の個性が混ざり合った魅力的な街になった」という――。
大阪・梅田の地下街「ホワイティうめだ」の「泉の広場」=2014年5月20日、大阪市北区
写真=時事通信フォト
大阪・梅田の地下街「ホワイティうめだ」の「泉の広場」=2014年5月20日、大阪市北区

大阪の地下街のすさまじいややこしさ

複雑な構造から思うように目的地にたどり着けず、世に「迷宮」「ダンジョン」と称される駅がある。そのひとつが、大阪(梅田)駅だ。

駅地下に広がる地下街は「梅田ダンジョン」とも呼ばれる。その総面積は約8万平方メートルと日本最大級。地下街ではないものの、地上に出ずアクセスできる4棟の「大阪駅前ビル」地下フロアを合わせると、面積はさらに大きい。

「関西・大阪万博」の開幕を前に、3月21日には「グラングリーン大阪」の南街区が開業した。グラングリーン大阪が位置するのは、もともと貨物駅があった「うめきた」エリアだ。関西最後の一等地とされ、2027年の全面開業に向け、さらなる開発が進む。地下・地上ふくめ、梅田ダンジョンの複雑性はまだまだ高まり続けているのだ。

再開発が進む大阪駅前の「うめきた」エリア
撮影=プレジデントオンライン編集部
再開発が進む大阪駅前の「うめきた」エリア

筆者は関東に住んでおり、同様に複雑とされる新宿や渋谷に行く機会も多い。その慣れもあるだろうが、実際に梅田を歩くと確かにダンジョンと呼ばれる理由も分かる。

例えば新宿であれば、代表的な地下街の新宿サブナードや京王モールは一直線な道になっており、方向も分かりやすい。近年では駅構内に東西自由通路が通り、移動しやすくなった。

一方、梅田の地下街はとにかく方向が分からない。直角に交わる道も当然あるがラウンドアラウンドや三叉路のようになっている部分があり、東西南北のどちらに向かっているのか、混乱した。