立花孝志氏も責任を取って党首の辞任を表明

なお、本稿執筆中に旧NHK党党首の立花孝志さんがガーシーさんの陳謝を行わなかった責任を取ると言い出して辞任表明し、党名を「政治家女子48党」に変更したと記者会見で発表しました。そうですか。

ただ、現行憲法下での除名の事例は2件のみで、1950年の参院・小川友三さん(無所属・当時)と51年の衆院・川上貫一さん(共産)であって、いずれも議場での採決や虚偽の質問などが原因という議員としての活動があった上での懲罰ですから、立花孝志さんも党首としてなんでガーシーさんみたいなのを立候補させちゃったのと言われればまあそうかなと思います。ガーシーさんも陳謝ビデオで語っておりましたが、立花さんに「国会行かなくていいから出馬を」と要請されたのは恐らく事実でしょうから。

話題作りのためにたびたび党名変更ネタを使っているのは明白であるため本稿では旧NHK党、党首辞任した立花孝志さんはそのまま立花さんで統一して表記します。

秋葉原駅前で街頭演説をする立花孝志氏(写真=Noukei314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

政党不信と若者の投票先の受け皿へと化けるインディー政党

今回のガーシーさんの懲罰を巡る事案が想像以上に大きな政治問題となっているのは、当選後明確な理由もなしに一度も参議院議場に登院しない、という日本憲政史における前代未聞の問題行動だから、というだけではありません。そこには「インディー政党の躍進」という背景があるからです。

旧NHK党は「政治はビジネス」と公然と標榜しているワンイシューのインディー政党ですが、こうしたインディー政党は、次の4月に行われる統一地方選挙において、政治に関心の乏しい若者有権者の受け皿としてさらに躍進する可能性があります。

議席を確保するなどしてすでに政治勢力としての認知度を確保しているインディー政党に、山本太郎さん率いるれいわ新選組や、リフレ派からスピリチュアル系・陰謀論者まで多様な論客珍客を擁する参政党も含めると、旧NHK党などインディー政党は前回の参院選で比例にて合計10%程度の得票を果たしていることにあります。

ここには、選挙区での勝利は最初から捨て、あくまでネットを中心とした広報活動で若者に政治参加の期待感を煽り、全国から薄く広く投票所に足を運んでもらうマーケティングを繰り返してきたこれらのインディー政党の戦略が、一部で功を奏した側面もあります。

つまり、選挙区でサシか少数の立候補者との間で戦って勝てるほどの集票はできないけど、全国一区のような参院選比例選挙区や、低投票率の割に多くの議員を選出する地方選挙においては、これらのインディー政党でも知名度と期待感さえあれば政策がどんなにめちゃくちゃでも1議席2議席ぐらいの少数であれば議席を確保できてしまうことになります。