瞬間風速的だったが国民に選ばれたガーシー

昨年7月の参議院選挙で当選後、一度も議会に登院しなかった旧NHK党のガーシー(東谷義和)さんに対して、参議院ではこの懲罰処分として「議場での陳謝」を求めておりました。いったんはガーシーさんも帰国しての陳謝を行うと発表しました。

ところが、なんだかんだあって懲罰委員会の決定に応じなかったガーシーさんについて、懲罰委員会は14日に改めて処分の審査を行うことになり、翌日15日、議員資格を失う「除名」の懲罰が参院本会議で可決されました。

16日付の報道では、ガーシーさん除名処分による議員資格喪失で不逮捕特権がなくなったことを受けて、逮捕状が捜査当局により請求される事態にまで発展し、実に面倒くさいことになってきております。議員資格喪失から怒涛のように逮捕状請求まで来てしまうあたりに、まさに劇場型政治ショーを観させられている気分です。

参院本会議で除名決定後、取り外される政治家女子48党のガーシー氏の氏名標=2023年3月15日、国会内
写真=時事通信フォト
参院本会議で除名決定後、取り外される政治家女子48党のガーシー氏の氏名標=2023年3月15日、国会内

いい意味で、最後っ屁のような「もう来ねえよ」と言わんばかりに扉開けっ放しで退場するあたりは、ガーシーさんらしいなあと思うわけですよ。議員になるとはどういうことなのか、立花孝志さんに言われたから国会に出なくてもいいから立候補したんだとか、なるほどですねという気分でいっぱいです。

ここだけ見ると「変な議員がいたんだな」で終わる話ですが、実際には参院選においてガーシーさんは比例代表で約28万7000票も獲得したという意味で割と強いほうの参議院議員であることも考慮しなければなりません。裏を返せば、瞬間風速的ではあるけれども、それだけの有権者から堂々たる得票をし、国民に選ばれて議員になったのだ、と言えます。ガーシーさんに対する評価がどうであれ、選良であることに変わりはないのです。

くしくもプレジデントオンラインで元木昌彦さんがこの問題について正面から論じて「衆愚政治」の側面を説いておられますが(※)、本稿ではそういうガーシーさんを生み出した旧NHK党のメカニズムについて考えてみたいと思います。

(※)ガーシーに投票した28万人はどんなつもりだったのか…自己保身だけが目的の「暴露系YouTuber」の末路 「たとえウソでも、面白ければいい」でいいのか