「政治に関心のない人」を呼び込むことに成功したが…

いわば、40人のクラスに1人か2人いる変わったやつの不思議な価値観や考え方は、クラスで2人しか立候補しない学級代表選びのような小選挙区制では彼らの意見を代弁する議員を通すことはできないけど、40人のクラスで10人の運動会委員を選びましょうというような参議院比例全国一区や地方選挙では2人が結託すれば役員のポストひとつは確保できるかもしれない、ということになります。

そして、これはこれで民意であるため、民主主義においては実はこちらのほうが少数意見の吸い上げという観点では良いことだったりもします。それが、いくら荒唐無稽な価値観で、クラスから外されている人物なのだとしても。民主主義における人権や一人一票の原則からすれば、インディー政党のやり方のほうが、民意の反映では正しい面が強くあります。

投票する人の手元
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政党において商品でもある政策については、政治に関心のない若者や独身者などはすべてにおいて理解するのはむつかしいことなどから、これらのインディー政党はいずれも「NHKをぶっ壊す」というワンイシューか、「税は財源ではないのでどんどん札束を刷って若者にばらまいて生活不安を解消させる」などの荒唐無稽ながら夢のある主張を前面に出して選挙戦を戦い、ネット中心の告知と都市部ピンポイントでの街頭活動に特化して既存政治に風穴を開けることに一定の成果を上げています。

良い面で言えば政治に関心のない人でも選挙に行く動機付けに成功していると見えるし、悪く言えば有権者の政治に対する無知に付け込んで詐欺まがいの投票行動を促しているとも感じられます。

左派政党はラストチャンスを逃してしまった

逆に、既存政党である日本共産党や国民民主党、社民党などは、主義主張のイデオロギーが確立していることもあり政策面では彼らなりにしっかりとした安保から経済、市民社会・暮らしなどの全方位で立案しています。もちろん、実際の政策としてこれらの既存政党が実現したがる政策が正しいかどうかは別です。

しかしながら、労働組合や共産党組織といった上意下達の党支持組織による政治活動がメインであるがゆえに、各職場などでの組合組織率の低迷とともに新規の支持層の獲得に苦戦し、また、安倍晋三政権下の安保法制への反対運動で若者中心のプロテストとなった「SEALDs」のような盛り上がりも結局はデモ参加者の主体が高齢の左派政党支持者が中心となって活動のエネルギーが低迷してしまいます。

仕事柄、デモや街頭演説は見物に行きますが、支援者として集まってきている人たちは高齢者ばっかりですからな。いま思えば、ここが左派政党の若者取り込みにおいてはラストチャンスだったのではないかと思われます。