除名されることは最初から見えていた

ガーシーさんの帰国については、諸説報じられている通り過去に韓国系アイドルグループBTSに面会させると嘘をつき金銭をだまし取った疑いだけでなく、YouTubeや自身のオンラインサロンなどでの暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)や名誉毀損の容疑も取り沙汰されています。

ここでガーシーさんが参議院懲罰委員会の処分内容に基づいて日本に帰国し参議院に登院するとなると、憲法50条で認められた国会開会中の議員不逮捕特権も議会の承認により逮捕できちゃうことから帰国即逮捕どころか帰国便のなかで逮捕さえもあり得る話になります。

もともと懲罰委員会の処分には4段階あり、議場での陳謝は二番目に重く、一番重い除名による失職との間には「一定期間の(参議院)登院の禁止」があります。ただし、そもそもガーシーさんの懲罰理由は当選以来一度も登院していないことで、登院しての陳謝を行わない状態ですから、この時点で、ガーシーさんは議員資格を失うのは決定的でした。

曇天の国会議事堂
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帰国時のリスクは警察による逮捕だけではない

帰国して議場での陳謝をしていれば議員資格の剝奪である除名まではいかなかったはずですが、それができなかった大きな理由の一つは、ガーシーさんが議員の身分を失うことよりも前述の罪状で逮捕・起訴されて、場合によっては実刑判決を下されることを恐れているように見えます。

しかし、それ以上に、ガーシーさんの暴露にあたっては別のトラブルに発展する可能性も否定できませんでした。既に削除されたガーシーさんアカウントのYouTube動画では「帰国すると暴力団に殺されるので帰国できない」という趣旨の発言がたびたびあり、そのような脅迫が問題のある組織からチラつかされていたのは事実でしょう。

よりによってドバイを離れトルコで活動するようになってしまったガーシーさんは、どうもトルコは割と危ないことをちゃんと知らないのかもしれません。

このガーシーさんの帰国を巡っては、さしもの立花孝志さんもガーシーさんの帰国を促したとされているものの、ガーシーさん側が立花さんの対応に強い不快感を示し、その結果、立花さんの発言や行動が二転三転するという事態にもなりました。ガーシーさんは「(立花党首に)帰国しないでいいと言われた」と主張しています。