その他のインディー政党に支持者を奪われている

結果として、旧NHK党は新たに党名を変更して女性中心のアイドルグループを模した組織替えと後任選びを始めていますが、これも要するにガーシーさんがかき集めた約28万7000票が今回の統一地方選挙では雲散霧消してしまい、立てた候補者数に見合う得票が得られず供託金没収ラッシュになってしまうことを恐れての起死回生の策(のつもり)なのでしょう。

代表を務める松田学氏。2022年6月20日、中野駅北口にて。
代表を務める松田学氏。2022年6月20日、中野駅北口にて。(写真=nakai放送局/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

インディー政党のなかでは旧NHK党はむしろ老舗になりつつありますが、さすがにNHK受信料反対というワンイシューではもはや政党としての成長は望めません。また、立花孝志党首は、受信契約者の情報を不正に取得したうえでインターネット上に拡散させると脅し、NHKの業務を妨害したとして、威力業務妨害などの罪に問われています。昨年10月には1審に続き2審の東京高裁でも有罪判決を受けており、最高裁で争うしかない状況です。

今回の統一地方選挙では、各地域の情勢調査が活発に行われている状況のなかでは、同じインディー政党として左派のれいわ新選組はともかく、後発であったはずの参政党にすら旧NHK党は投票先として後塵を拝しています。自民党や立憲民主党、維新などの有力野党に迫るどころではありません。立花さんの話題作りで頑張っていて面白いから票が集まっていた旧NHK党が飽きられ、より分かりやすい陰謀論やスピリチュアル、MMT理論などを振りまく参政党のほうに支持者をごっそり奪われていることになります。

話題性を失ったインディー政党は生き残れるのか

そうなってしまうと、旧NHK党が戦略として続けてきていたネットで話題作りをし、薄く広く支持を集める方法を実現するために、各地で擁立する立候補者のかき集めや出馬に必要な供託金の捻出も今回の統一地方選挙の結果次第ではだんだん困難になってくるでしょう。

これらの問題も、すべては一瞬の輝きに終わってしまったガーシーさんの約28万7000票に代わる新たな票田の掘り起こしに立花孝志さんが失敗し、「NHKをぶっこわーす」のワンイシューではもはや成り立たなくなってしまったことが背景にあります。

むしろ、労働者と共に歳を取ってきた日本共産党や立憲民主党、国民民主党などは、むしろ労働というすべての人たちに関わりのある行為を政治的に代弁しているからこそ、コアな支持者が高齢化しても政党としてまだ存続できます。しかし、そのような地に根を張っていないインディー政党は、話題性が命です。その話題性が続くうちに、しっかりとした支援者による地方組織を作り、きちんと党運営をしていかないと「政治はビジネス」としても続かないことになります。

その抜群な話題性を誇ったガーシーさんの戸締まりのような後始末がどうなるか次第で、これらの新たなインディー政党の行く末も、また、イデオロギーを失った現代日本政治の趨勢も決まってくる面があるのではないかと思います。

私もまた、立花孝志さんやガーシーさんからは「山本一郎は黒幕」と呼ばれて腹を抱えて笑いましたが、これはこれで面白かったので次なるネタをお待ちしております。

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