独特な金銭感覚で運営されている旧NHK党
そのなかでも、冒頭のようにガーシーさんを擁立した旧NHK党の立ち位置は非常に特殊なものがあります。
旧NHK党の前党首であった立花孝志さんは独特な倫理観・金銭感覚の持ち主で、政党に対する献金には慎重な一方、旧NHK党の支持層などからは政党組織が金利を保証して借り入れをしたり、中国製のチューナーレステレビを輸入してきて販売することで党運営資金に充当したりするなど、不思議な財務運営をしているのが特徴です。
2019年にはYoutube上で支持者に対して直接、旧NHK党の政党組織に対する貸し付けを求める動画を公開しました。それも、動画のなかでは国会議員数や得票に応じて国家から支給される政党交付金を原資に旧NHK党の支持者からの負債を返済すると標榜したため、政党助成法に定める政党交付金からの支出が法律で「借入金の返済及び貸付金の貸し付けを除く」と制限されていることに思い切り抵触するため、その政党資金の調達からして違法のおそれがあります。
グダグダな話題作りが続いたなかでの“ガーシー擁立”
最近では、政党資金の問題を抱えているのか、旧NHK党がNHK受信料を支払わなくてもよい中国製チューナーレステレビを訪問販売する計画を立てており、日本共産党とColabo問題で国会での質問にこぎ着けた旧NHK党参院議員の浜田聡さんを除いては組織的にもかなりのグダグダが感じられます。
東京都知事選ではタレントの堀江貴文さんと共謀してホリエモン新党を設立したほか、複数回の政党名変更ごとにネットで話題作りに励んでいることを見ると、極めて厳しいオワコン感を抱くのも確かです。話題性がなくなると本当に旧NHK党は存亡の危機になってしまうので、とにかく炎上でも裁判でも何でもやって、忘れられないようにすることが生命線となっているのです。
そこへきて、暴露系YouTuberとして一時期人気を博していたガーシーさんを口説いて、もっぱらドバイやトルコなど諸外国にいて日本にいない人物であったにもかかわらず旧NHK党からの擁立にこぎ着け、参院選出馬を強行した結果、参院比例で約28万7000票も取って議員となったのは述べた通りです。
また、21年4月、旧NHK党の幹事長を務めた上杉隆さんが『週刊FLASH』(光文社)による複数の不倫と隠し子騒動に対して潔白を主張する記者会見を行わなかったかどで、なぜか旧NHK党を原告とした名誉毀損裁判を始めてしまいます。立花孝志さん一流の話題作りかもしれませんが、他方で、上杉隆さんはこの旧NHK党幹事長として年間1000万円以上の役職報酬をもらっていたことから、スキャンダル報道を口実に高給取りの上杉隆さんを厄介払いしたようにも映ります。