現状の年収より下がる転職のほうが安心できる
ここまで見ていくと、現在の年収よりも下がる転職のほうが、転職後を考えると結果的に安心できる場合も多いわけです。実際、大企業からベンチャー企業に転職する場合は、通常は現在の年収よりも下がることが一般的です。
30代後半のBさんの場合は、日本を代表する上場企業から、まだ立ち上がったばかりのベンチャー企業に転職しましたが、転職する際には約800万円から約670万円と、現在の年収からおよそ3割ダウンとなってしいましました。その後数年で実績を出し、ベンチャー企業を急成長させて執行役員にまで昇格して、最終的に転職から数年後にいれば受け取るはずだった年収の5割増しとなる、約1500万円を受け取るレベルに至りました。
Bさんのように大企業を飛び出してベンチャー企業に転職する場合には、目先の年収が下がっても将来のリターンとしての年収に期待があります。Bさんは正に背水の陣とも言うべきチャレンジ精神でベンチャー企業に果敢にも転職し、仕事に邁進して最終的に年収アップを勝ち取ったわけです。
仮に目先の年収が下がったとしても、将来のリターンとしての年収アップを考えて転職にチャレンジすることも、25年以上ヘッドハンターをしてきた経験からもある意味理にかなった転職だと思っています。
転職で「ようやく部下を持てる」と期待していたが…
年収の次に注意を払うべき点がポジション(職位)になります。特に、現在勤務している企業でのポジションから昇格する場合は、喜ぶよりもまずは企業が求めている期待度を真摯に見極める必要があります。
例えば20代後半のCさんは、今まで部下を持ってマネジメントした経験がないのに、転職先からはマネージャーのポジションを提示されました。いよいよ部下を持てるものと期待していたところ、実際は部下なしのマネージャーのポジションだったことが判明したわけです。しかも、Cさんのケースでは、採用内定通知書には部下がいるかどうかが明記されていなかったようでした。
転職先のポジションがマネージャー以上の管理職である場合、求められる役割や責任の範囲だけでなく、マネジメントをする部下にはどのような人がいるのかを事前に把握しておくことが重要です。即戦力としてマネジメントに取り組むことを任せてくれる企業の期待度を自分なりに分析しておきましょう。