転職ではなにに気を付けるべきか。ヘッドハンターとして25年以上活動する佐藤文男さんは「年収や職位などで厚待遇を謳う企業には注意が必要だ。必ず採用内定通知書を読み込んで、試用期間後に待遇を見直されるリスクがないかをチェックしたほうがいい」という――。
ITコンサルや金融業界の「厚待遇」には要警戒
年収1000万円以上といった「厚待遇企業」は、どのようなジャンルに多いのでしょうか。
私の約25年にわたる人材紹介の実務経験から振り返ってみると、「厚待遇企業」が特に目立つのは、日本市場での拡大を狙う外資系企業や、上場を目標としているベンチャー企業です。優秀な人材を獲得するべく、「厚待遇」を前面に押し出す傾向があります。
一方、業界や職種といった視点からの分類から考察してみると、例えば戦略コンサルタントやITコンサルタントのようなコンサルティング業界や、エンジニア職に代表されるIT業界、そしてM&A、ファンドマネージャー、アナリストといった専門的な職種に代表される金融業界も、「厚待遇」を謳う傾向にあります。
年収は「現在よりも1割アップ」が理想的
このような「厚待遇企業」を転職先として見ていく際、まず目を向けたいのは「年収」です。
例えば、あなたが転職を希望している企業から内定(オファー)をいただいたとしましょう。この際にオファーの条件を記載した採用内定通知書が企業から提示されて正式な内定となりますが、まず大切な点は待遇の内容を明確に確認することです。
年収に関しては、面接を通じてある程度事前の想定範囲内に収まっていれば支障はありませんが、現在の年収より何割もアップする期待感を持たせる内容であれば、必ずしも喜ばしい状況ではないことを認識しましょう。転職後の年収はアップしたとしても、現在よりも1割程度のアップが理想だと謙虚に受け止める姿勢が大切です。
サッカーや野球といったプロスポーツの世界も、試合で活躍して成果を出してから翌年の報酬が上がっていくわけです。ビジネスパーソンの世界においても、本当に年収をアップさせたいのであれば、転職後に成果を出してから年収をアップさせようという流れが至極当然であると言えます。