高額のボーナスは見せかけの数字の可能性がある

現在の年収よりもかなり高めの年収が提示された際には、次の点からカラクリがないかどうか検証してみましょう。

まずは、ボーナスの割合が月ごとの年収より高い場合は、おそらく昨年度の実績から算出されているとは思いますが、企業の業績によってはボーナスがゼロになる可能性もあります。

加えて、ボーナスは成果が賞与査定期間内に出せていなければ、1円もボーナスが出ないケースもありえます。いくら想定年収が高いと言っても、ボーナス以外の固定給だけを考えた場合に現在の年収よりも下がる可能性が出てくるので、単なる見せかけの数字に振り回されないようにしましょう。

次に、最初に提示された固定給だけでも現在の年収よりも高く提示された場合によくあるカラクリは、“試用期間”の適用になります。つまり、転職を考えている企業の採用内定通知書の中に試用期間(通常は3カ月ないしは6カ月)後に、「年収を見直す可能性がある」といった項目がないかどうかを確認しましょう。

よくあるケースですが、転職時は急激に年収が上がったと喜んでいても、試用期間内に期待以上の実績が出せないと、試用期間後に現在の年収よりも下がってしまうことがあるわけです。

従業員と面接する管理職の男性
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給料アップのはずが、1000万円→800万円に

40代前半のAさんは、転職する際の採用内定通知書の内容をよく確認せずに、単に固定給が上がると喜んでいました。しかし、試用期間後に期待された営業実績が出ていないとの理由から、固定給が約1000万円から約800万円へと、約2割も下げられてしまいました。

Aさんは反論しましたが、転職先の企業側から「年収が下げられる可能性があることは採用内定通知書に記載されている」旨を指摘されて一蹴。結果的に固定給は下がり、ボーナスも期待できず、転職初年度の年収は前職よりもむしろ下回る見通しとなりました。

このような失敗をしないためにも、転職を決断する前には採用内定通知書を詳細に確認し、疑問や質問があれば、転職前にエージェントや企業側の人事部に遠慮せずに確認するようにしましょう。

企業側の立場としては、現在の年収よりも高い金額を提示する背景には、転職後に期待以上の実績を出して即戦力としての貢献をしてもらう意図が明確にあると考えるべきです。

逆の立場から考えればわかりやすいわけですが、企業も転職後の単なる期待感のみで何割も年収をアップさせることは基本的にはあり得ないのです。