幼稚な意志決定プロセス、責任回避思考をどうにかせよ

少し余談になるが、その後、私はフリーライター・編集者となり、雑誌とネットニュースの制作に関わるようになる。両方ともそれほど大きなカネが動くわけでもないから、ひとりの編集者の権限で「エイヤッ」と大抵のことはできてしまった。

雑誌『テレビブロス』では6ページのバカ特集をさんざん作ってきたが、編集長は何も口出しをしてこなかった。校了日に「面白いですね」と感想を伝えてくれるだけ。編集長は一貫して「とにかくバカっぽく作って構わない」と言ってくれたので、たとえば「一人鍋特集」を手がけたときには「まずい鍋TOP10」など、広告案件ではあり得ないような切り口の企画も容赦なく入れたりした。それでいて読者からの評判はよかった。

話を戻そう。冒頭でも述べたように、日本人が意思決定する場面では、とにかく波風を立てないようにし、怒られる人間を生まないことが最優先される。

それこそ広告案件のプレゼンの際にも、こうした責任回避の場面を何度も目にしてきた。プレゼン終了後、こちらが「いかがでしたか?」と相手の現場担当者(普段の業務で接する若手や中堅)に尋ねると、その人は「検討ですね……」と言いながら隣の上司をチラリと見て、「山田係長はいかがでしたか?」などと尋ねる。すると係長は「検討ですね……」と言い、隣を見て「吉井課長はいかがでしたか?」と尋ねる。そして課長も「検討だなぁ……」と言い、その隣を見て「近藤部長はいかがですか?」と尋ねる。部長は「検討だなぁ……。マッ、社内で揉んでお返事しますよ」となる。この場で賛同ないしは否定をしてしまうと、自分の責任問題につながってしまうかもしれない。それを心底恐れているのだ。

実にくだらない。日本が「失われた30年」に陥ってしまった理由がよくわかる。このまま幼稚な意思決定プロセス、そして責任回避の思考を日本人が続けるのであれば、「失われた40年」も視野に入ってくるだろう。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」

・日本人は「和」を重んじるばかりに、決断することが苦手な民族である。
・さらに日本人には「後で怒られたくない」「責任を負いたくない」という事なかれ志向がベッタリと染みついている。だから意志決定が遅い。
・コロナ対応でも、そうした日本人の情けない特性が存分に発揮され、あらゆることが後手に回っている。
・幼稚な意志決定プロセス、責任回避思考からいいかげん脱却すべし。

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