マッキンゼーで出会った一流ビジネスパーソンの共通点
一流のビジネスパーソンほど、エネルギーを1つのことに集中して使うことが大きな成果につながることをよく知っています。
限られたエネルギーを効率よく仕事に向けることがパフォーマンスを上げる一番の方法であることを熟知しているのです。そして、その妨げの最大の要因が感情に振り回されることだと理解しています。
私が以前勤めていたコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、優秀なビジネスパーソンにたくさん出会うことができました。みな例外なく感情コントロールの達人だったと言えます。
どんなに多忙であっても、焦ったりイライラすることなく、目標に向かって最短距離で結果を出していく。それを最優先にするので、日常で派生する些末な感情にこだわることはありません。その徹底ぶりは見事だったと思います。
ただし、彼らは感情を抑圧するのではありません。むしろ喜怒哀楽を素直に表現します。とても自然体でバランスがいいのです。冷静でありながら人間味にも溢れている。
つまり魅力的な人物なのです。周囲の人望も厚く、良好な人間関係を築くことができる。それによってさらに仕事がしやすい環境が生まれていく。これこそが成功へ向かう「正のスパイラル」です。
逆に仕事のできない人物に限って、些末なことに心を奪われ、そのたびに感情を乱しがちです。その結果、仕事のパフォーマンスも人間関係も悪くなる。まさに「負のスパイラル」に落ち込んでいくのです。
頭の良さやスキル以上に感情コントロールが重要な理由
感情コントロールは自己コントロールとほぼ同義と考えられます。米国のある研究では、大学生の成績と30を超える性格特性との関係を分析したところ、学生の成績に関連する特性は「自己コントロール力」だけだということが示されました。
自己コントロール力は、学生のその後の成績を予測する方法として、IQやSAT(米国の大学進学適性試験)のスコアよりも優れていたそうです。
ビジネスパーソンを調べた別の研究では、自己コントロール力のスコアが高い上司は部下からも同僚からも好意的に評価されていることが分かりました。
そういう人物は感情も安定していて腹を立てることが少なく、他人に対して攻撃的になったりすることが少ないという結果も出ました。
頭の良さや仕事の能力以上に、自己、すなわち感情をコントロールできる人が社会的にも成功する。これらの研究からも、そのように言うことができます。
良い人間関係をつくり、仕事で成果を上げ、幸せな人生を送るために一番に必要なこと。それは感情コントロールなのです。