問題を捉えて行動することが評価にもつながる
まず大事なことは、湧き起こっている感情をしっかり感じ、認識すること。たとえネガティブな感情であっても、受け止めることが大切です(1.意識化)。
その後、その感情がなぜ起きたか、真の問題を検証します。たとえば上司に企画書の出来が悪くて注意され、フツフツと怒りが湧いてきたとしましょう。怒りが湧いた真の原因は何だったかを冷静に振り返ってみる。
すると、上司からの評価が下がるのでは、という不安感や、上司に自分の努力を知ってほしいという承認欲求、自分の同僚ばかり評価されているという嫉妬の感情などが背景にあり、それらの存在をそのまま認めたくないがゆえに「怒り」という感情に転化したのかもしれない。そんな構造が浮かび上がってきます(2.構造の把握)。
その上で、自分はもしかすると努力をもっと認めてほしいという承認欲求が強いのでは、と仮説を立ててみる。もし、上司が成果だけでなく過程を評価してくれたらどう感じるか? 自分なりにシミュレーションしてみましょう(3.仮説の検証)。
上司が過程を評価し、努力を認めてもらうことが、自分にとって何より重要なのであれば、問題解決策は自分の怒りの感情を爆発させることではない、と分かります。
たとえば、自分の企画書作成の過程を紙に箇条書きにし、この作業のどこに問題があったのかを上司に相談してみる。すると、あなたのこれまでの仕事の流れを理解してもらえると同時に、積極的に改善しようとしているあなたの態度を評価してくれるかもしれません。
それがあなたの承認欲求を、満足させることにもつながっていきます(4.解決策を導き出す)。
“見える化”することで解決可能な「課題」に変わる
要は、感情を何かモヤモヤした捉えどころのないものとして扱うのではなく、解決可能なロジカルな「問題」、あるいは「課題」として「見える化」すること。つまり、問題化することができれば、それに対する解決策も自ずと生まれてくる、ということがポイントなのです。
その際、イライラしている感情が、作業が物理的に進んでいない焦りから来ているのであれば、人に助けを頼む、あるいは作業工程を見直すことが課題として見えてきます。
あるいはその感情が、上司の自分に対する評価が気になるということから来ていると分かれば、自分のこれまでの仕事の流れを上司に示してアピールしたり、どこに問題があるかを指摘してもらうことで印象をアップさせるなど、次に取るべき行動がロジカルに導き出されてきます。
いずれにしても、ロジカルな分析と思考が基本になっていて、まさにマッキンゼーで学んだ問題解決のスキルの真髄がそのまま応用できるのです。
感情にとらわれ、それに流されてしまう人たちは、逆に言えばロジカルに問題を捉えることができない人であり、感情を解決可能な課題にまで落とし込むことができない人だと言えます。それが効率のいい働き方を遠ざけてしまうのです。
ただし、安心してください。それはやり方、手法さえ知れば、誰でも実践することができます。誰もがそれを実現できるようにするのが本書の目的なのです。