CASE3 A判定の受験校にまさかの不合格だった息子
「『子どものために』と思って決断したことが、かえって裏目に出るとは……。息子には、いまだに申し訳ない気持ちでいっぱいです」と語るのはK代さん(48歳)。K代さんは25歳で結婚し、30歳で出産。3年前、ひとり息子が高校に進学するタイミングで、4歳年上で会社員の夫と熟年離婚をした。
離婚に関するもろもろの手続きに関して、「何がなんでも3月中に終わらせよう」と夫婦で決めたのは、子どもの環境の変化を考慮したためだという。
「夫婦間で協議した結果、息子は私が引き取って実家の両親のサポートのもとで育てることになったため、名字や住まいなど環境が変わることが避けられなかった。だからこそ、できるだけ息子にかかる負担を少なくするためにも、学校や友だちが変わる進学のタイミングで離婚をしたかった」
地元の公立中学を卒業する3月に離婚が成立すれば、進学先の私立高校では4月の入学の時に合わせて新しい名字を名乗っても、比較的目立ちにくいと考えたのだ。
K代さんの息子は受験勉強が得意だったこともあり、模試でも第一志望の名門私立高校はつねに合格確実のA判定だった。ところが、満を持して受けた第一志望の学校だけでなく、第二志望の学校にすら不合格となってしまい、万が一の「滑り止め」として受けていた学校に進学することになったという。
合格発表の日、予想外だった不合格の通知を受けた息子は泣きながらも、両親に次のように訴えたそうだ。
「『お父さんとお母さん、どっちと住みたいの?』とかわるがわる何度も問われたり、『高校や大学の学費はどうするの?』と両親が揉めるのを聞かされたりしていたら、思うように受験勉強に集中できなかったよ」
K代さんは、「自分たちの都合で、いちばん大事な時期に息子の心を乱してしまった。こんなことになるなら、息子が第一志望の高校に進学してから離婚するべきだったのではないかと後悔している」と肩を落とすが、後の祭りになってしまった。