CASE2 親の都合で引き裂かれた兄妹
K太さん(58歳)も2年前の3月に熟年離婚をしたことを今、激しく後悔している。
「3月に離婚をしたことにも関係していますが、そもそも2人の子どもの親権を妻と分けたことは、はたして子どもたちにとって正しいことだったのか今でも迷っています。将来、どんな影響を及ぼすのか考えると不安で仕方ありません」
K太さん夫婦の離婚原因は、1歳下の妻の浮気だった。K太さんが仕事にかかりきりで長い間家庭を顧みず、妻に寂しい思いをさせてしまっていたことが浮気に走らせた主な要因。
「『あなたと別れてでも、彼と一緒になりたい。年齢を重ねても、私をひとりの女性として大切にしてくれる人だから』と離婚を切り出された時は、ショックで頭が真っ白になった」
K太さんの妻の浮気が発覚した時、2人いる子どもの長男は高校生で、長女は半年後に中学進学を控えた時期だった。K太さんいわく「僕は、代々続く家業の3代目。長男も実家の家業を継ぐ意思を見せていたので、僕も僕の両親もどうしても息子を手放したくないという気持ちが強くあった。浮気をした妻に子どもの世話をさせるべきではないと思ったが、妻本人と妻の母親に泣きながら説得されて、仕方なく娘の親権だけは譲ってしまった」。
当時、すでに高校生だった長男はそのまま父親と暮らすことで環境の変化は少なかったが、妻に引き取られ、他県へ引っ越す長女は中学進学をきっかけに名字も住まいも変える必要があった。
「できるだけ早く娘の住環境を整えなければという焦る気持ちが先行して、夫婦間で十分な話し合いができていなかったのは事実です。子どもたちの本音も、どこまで正しく理解できていたか……。元妻は今、スーパーマーケットのパート仕事でなんとか生計を立てています。近い将来、『再婚したいと思っている』とは言っているのですが、具体的な時期までは決まっていないようです。当座、娘のためにも進学先のことや、ひとり親の福祉サポートについても僕がもっとしっかり調べるべきだったと思う」