泥沼状態

上地さんは長女が2歳になる年に仕事に復帰し、両親の居住スペースには行かなくなった。長女は無事保育園にも慣れ、家事育児は夫婦で分担した。しかし第2子の臨月が近づいてくると、上地さん夫婦は、出産後の1カ月ほどの間、長女とこれから産まれてくる子をどう世話したら良いか、頭を悩ませた。夫の会社は1週間しか育休が取れない。居住する

地域の妊婦面談で悩みを相談すると、同居の親がいるのに手伝ってもらえないことを驚かれた。

悩んだ末に、東北地方に住んでいる義母にサポートを依頼することを決めると、念のため、夫がそのことを上地さんの両親に報告。すると、母親はびっくりした様子で、「何でいらっしゃるんですか? 何しにくるの?」と強い口調で訊ねた。

夫は、「母は以前から僕たちの家に来てみたいと言っていましたし、産後、家事を手伝ってもらおうと思って」と答えた。

翌朝、上地さんが出勤するために玄関に出ると、突然母親が話しかけてきた。

「夫くんは、何で私とあんたの間に入ろうとしてくるの? 別に私たち普通なのに、夫くんが入ってくるからおかしくなる。義母さんも呼んだりして……。私があなたたちの産後の面倒を見ます。私は母親ですから!」

手のひら返しの母親の対応に上地さんはあきれ顔で「面倒見たくないって言ってたじゃない!」と言えば、「前とは状況が変わったの! 私が面倒見ます!」と母親は言い張り、自分の部屋に引っ込んだ。

「あまりの身勝手さにびっくりしました……。自分が関係を壊したのに。母は、外面だけは良い人なので、自分がいるのにもかかわらず義母が来ることが嫌だったんでしょう。自分が除け者にされているとか、自分を差し置いて、とか思ったに違いありません」

結局、上地さんは母親に産後の面倒を見てもらった。その間、母娘関係は改善したかのように見えたが、それは上地さんが母親にお礼として金銭を支払い、ウナギをおごり、ご機嫌をとったから成立した見せかけの“良好さ”だった。

案の定、その後トラブルが勃発する。2022年1月ごろのことだ。

上地さんは、母親が姉に「コストコのキッチンペーパーがたくさんあるから半分持って行きなさい」と言っていることを知ってしまう。それは以前、上地さんが母親に買ってあげたもので、母親が使わないなら上地さんが使うことができるものだ。愕然とした上地さんは、「ずっと前から私が買ってあげたものを人にあげるのをやめてほしいと言っているのに、なぜやめてくれないの?」と聞いたが、「いいじゃない」で会話は強制終了。

ならばと、上地さんはキッチンぺーパーの料金を要求したところ、「ケチ」「前はそんなんじゃなかったのに」とふてくされる。

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「もう我慢の限界でした。言い合いになった末に、私から『距離を置いたほうが良い』と言いました。正直とてもくだらないことですが、なぜ私が姉や母の友だちに間接的にでも費用負担しないといけないのか、不満しかありませんでした。これも私の財産は自分の物だと勘違いしていることからきていると思います」

この日から母娘は再び断絶状態となり、二世帯間の交流は完全になくなった。