クラブ、ミニクラブ、ニュークラブ、キャバクラ

具体的に、どのような店舗・運営形態があるのか。業態の説明も合わせて紹介していこう。

なお、ここでは我々日本水商売協会が活動の範囲とする、女性が働く店に限って紹介していく。

また、現状において業態の明確な定義は存在しない。同じ名称であっても内容が違う、といったこともざらである。ここで挙げている定義が絶対的なものとはいえないので、「こういう業態があるんだなあ」と思っていただければ幸いである。

まず【クラブ】【ミニクラブ】【ニュークラブ】【キャバクラ】という非常に似た業態がある。

まず【クラブ】は東京・銀座や大阪・北新地などの繁華街の中でも、限定されたエリアに密集して存在している。その他の繁華街にある場合でも、地域全体の店舗数から考えるとごく少数である。

クラブとキャバクラとの大きな違いは料金システムで、クラブでは席に対して料金が発生することが多い。都心のいわゆる「高級クラブ」では、座っただけで4~6万円が「チャージ料」として発生し、飲み物は別途注文、というシステムが一般的だ。

クラブは時間を気にせずくつろいでいただく場所であることを前提としているが、2時間をワンセットとして、それを超えると追加料金がかかるのが通常である。2時間ワンセットとなっている意味は、「2時間以内でお席を空けてくださいね」という店側の意図がある。

これは、お店の都合を配慮してお席を空けていただく紳士の心遣い、またはクラブの「しきたり」に対する暗黙の了解のようなものを示しているものだと思われる。日本における独特の文化、「粋」な飲み方、風習・作法がこの料金体系に表れているともいえるだろう。

【ミニクラブ】は、クラブよりも小規模かつリーズナブルな料金体系の店舗が名乗ることが多い。内装にかける費用や、ホステスの人件費がクラブよりも安価な分、料金がリーズナブルになるのだ。

ホステスは指名なのに変えることができない

クラブは江戸幕府によって公認されていた遊郭である「吉原遊郭」と、京都祇園の「お座敷」文化の流れとが合わさった形で継承されているという説がある。そのためか、「一見さんお断り」などの一般の飲食店などには見られない決め事がある場合が多い。

現代における「一見さんお断り」には、「支払いはツケである場合が多いので、身元のわからない一見さんだとトラブルの元になる」「店の品格を保つために、店が客を選ぶ」という意味がある。

また、店に従事する女性にも違いがある。クラブやミニクラブに従事する女性は「ホステス」と呼ばれ、以下に説明するキャバクラやラウンジ、ガールズバーの従事者は「キャスト」と呼ばれる。

クラブでは永久指名制という制度が主流で、客は原則「係」(関西地域では、「口座」)と呼ばれる指名ホステスを自分で選ぶことも、変えることもできない。

指名なのに変えることができないというのはおかしな話だ、と思われるかもしれないが、ツケの回収責任を負うと共に、ホステス同士のトラブルなどを回避するためにある制度なのだ。

一方、キャバクラは、その日の気分や、写真などで選んで気に入った女の子を「指名」することができる。

写真=iStock.com/maruco
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入店と同時に指名することを「本指名」、店内入店後に、特定のキャストを自分の席に固定させることを「場内指名」という。

【キャバクラ】は日本の接待飲食業で現在もっとも従事者の多い業態である。クラブとは違い1時間、または30分単位での課金システムを採用している。

最近は朝や昼の時間帯に営業する「朝キャバ」、「昼キャバ」なども登場している。

ちなみに、札幌・すすきのなど、一部地域では、いわゆる「キャバクラ」のことを「ニュークラブ」と呼ぶ場合もある。