軽微なストーカーには「連絡を絶つ」
リスクの小さいストーカーについてどのように対処すべきか。アメリカの心理学者ミラーによる提案を紹介しておく。
ただし、逆効果になる場合もあるので、単に無視しておく場合が良いケースもある
● 送られたメール、電話、郵便などは、証拠(スクリーンショット、録音、写真など)を取って保管しておく
● 電話番号、メールアドレスなどを変える
● 通勤や通学の経路、方法を変える
● セキュリティーシステム(防犯カメラなど)を導入する
● ためらわずに警察や専門機関に相談する
このような対処を取りながら、2週間以内でストーカー行為が収まるならば、よほどのことがない限り、それでひとまず安心して差し支えない。
高リスクストーカーには「治療的に介入する」
リスク評価によって「高リスク」と判定された者には、訓練を受けた専門家による治療的介入が必要になる。この場合、明白な精神病ではないことが普通なので、薬物療法ではなく、心理療法が治療の中心となる。それは一般的なカウンセリングのような「相手の話や悩みを聞いて、それに対応する」といったスタイルのものではなく、より専門的な治療介入である。
アメリカの司法心理学者ローゼンフェルドらは、弁証法的行動療法と呼ばれる治療によってストーカーの治療を行い、その効果を発表している。それを見ると、治療を受けた29人の男性ストーカーのうち、6カ月間の治療を完了した15人にはその後1年間の再犯がなかった。一方、脱落した14人はその27%が再犯に及んだという。
弁証法的行動療法とは、著しいパーソナリティーの逸脱やそれに基づく不適応行為などの治療に有効であるとされるもので、自他の感情への気づきを高め、感情や行動の統制力を高める効果があることが実証されている。さらに、不適切な問題解決をしがちな人に対して、適切な対処スキルを学習させる要素も含んでいる。