ショートスリーパーでもないのに眠らない日本人

OECD加盟国の平均睡眠時間は8時間25分ですが、世界の睡眠時間はアメリカ、アジアを中心に短くなってきており、なかでも日本は最短の7時間22分と、平均より約1時間も短いです。

こうした状況のなか、子どもから大人まであらゆる年代に睡眠の問題がみられます。もともと睡眠が短くてもよい「ショートスリーパー(短時間睡眠者)」が日本に多ければいいのですが、そういうわけでもないでしょう。個人にとっての適正睡眠時間が不足している場合には、睡眠負債が積み重なっていくことになります。

睡眠不足が慢性化すると、寝不足の脳でものごとの判断をおこなうことになるため正確でなくなり、労働災害を引き起こすなど、社会的損失をもたらすリスクがあるのです。そのため、睡眠のパフォーマンスの客観的な測定が必要になります。

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第1回の睡眠環境に関する箇所でもお話ししたように、昨今、睡眠を管理するアプリが増えていて、機能も充実してきています。なかでも眠りの浅いタイミングでアラームが鳴って起こしてくれるものはいいですね。おすすめです。また、客観的に自分のいびきや寝言を聞いたり、レム睡眠とノンレム睡眠のリズムを確認したりするアプリもあるようです。いずれもとても重要なことで、睡眠障害の早期発見にもつながります。

交代勤務者を悩ます「社会的時差ぼけ」

次に、睡眠と健康についてのトピックをいくつかご紹介したいと思います。

24時間対応の情報社会、グローバル社会となり、幅広い職種で夜勤を含む交代勤務者が必要とされる事業所が増加しています。

交代勤務者には、時差障害(時差ぼけ)と似た症状が起こります。時差ぼけになると最終的に現地時刻に同調する「外的脱同調」が起こりますが、交代勤務者においては常に勤務時間帯が変化するため、体温、メラトニンリズムなどの生体リズムがズレてしまう変化(内的脱同調)が発生します。これを「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ぼけ)」といいます。

入眠困難、睡眠維持困難、熟眠感なし、眠気があるなど睡眠に関する訴えのほか、自律神経症状(めまい、立ちくらみ)や消化器症状(吐き気、下痢)が起こりやすくなります。そのため交代勤務者の雇用者側がなにより注意すべきは、人的災害、転倒骨折、交通事故等を引き起こすヒューマンエラーの抑止でしょう。

仮眠のとり方や夜勤明けの過ごし方の工夫、睡眠環境の調整など、交代勤務者の健康保持のため、さまざまな研究も進められています。

交代勤務に比較的適応力が高い人もいます。夜型の生活リズムの人、年齢の若い人、神経症傾向の低い人、外向性の高い人、交代勤務があっても平均睡眠時間が6時間を確保できる人です。