心得2 良いときは、ほめる
メンバーの働きは、営業成績のように数値化できるものばかりではありません。
優秀な営業成績の裏には、事務職からの献身的なサポートがあったのかもしれません。
あるいは、仕事の成果に直結しなくても、普段から休憩室を黙々と整理整頓してくれているような目立たないメンバーがいるかもしれません。
リーダーは、こうしたメンバーの陰のファインプレーや地道な気遣いを発見し、それをほめることを忘れてはいけません。
既にやっている仕事に「ほめる」を追加する
リーダー職は、仕事で優秀な成果をおさめた人材が昇進して担うケースが多いので、業務上で改善すべき点を指摘することは得意です。その一方で、メンバーの持つ長所や良い行いを見つけ出してほめることは不得手かもしれません。
けれどもそれは当然のことで、「ほめる」という行為は、ある日突然できるようにはなりません。コツを学んだり、ほめる機会を意識的につくって場数を踏んでいかなければ、案外難しいのです。
トレーナーの大嶋は、ほめる機会づくりに「週報」を活用したと言います。
先の企業では、週報でメンバーが役員に報告をする義務がありました。
そこで役員に、週報をただ読むだけでなく、必ず何かしらのコメントをして、メンバーの良い点を見つけてほめるように勧めました。
すると、これを続けていくうちに、「次は何をほめてくれるかな?」とメンバーのモチベーションが上がってきたようで、メンバーの報告内容が細やかになり、質も向上しました。
これは、リーダーが変わったことで、メンバーにも変化が起こった事例です。
リーダーが変わるといっても、急に人格が変わってしまうような変化は気恥ずかしいですし、相手も面食らうでしょう。けれども、週報のように、これまでも使ってきたコミュニケーションツールの使い方をちょっと変えてみるだけのやり方は簡単ですし、新たに取り入れるためのコストもかかりません。
また、ほめるタイミングは、基本的には「冷めないうち」ですが、他のメンバーが集まるときを狙い、みんなの前でほめることも効果的です。ほめられたメンバーの自尊心が高まりますし、それを見た他のメンバーも「自分もみんなの前でほめられたい」という気持ちになるでしょう。