FCV「MIRAI」の月間国内販売台数がわずか10台に

昨年の夏に一体何があったのか。

2022年8月、トヨタのFCV「MIRAI」の月間国内販売台数が、わずか10台に低下するという事件があった。

もちろん、当時はコロナ禍・ウクライナ戦争によるサプライチェーンの混乱が大きな影を落としていた。その影響で一時的に売り上げを落としたとしてもやむを得ない時期ではあった。

しかし、その点を勘案しても、「MIRAI」の極めて少ない販売台数は関係者にとって大きな衝撃だったようだ。その後、販売は多少回復したものの、依然低空飛行が続いている(図表1)。

世界で1万1000台しか売れなかった初代「MIRAI」

初代「MIRAI」が発売されたのは2014年12月15日。この初代モデルは6年後の2020年11月に販売終了したが、世界での累計販売台数は1万1000台だ。700万円を超える高価格と、水素インフラの整備が進まないことがネックになっている。

ただ初代「MIRAI」の不振でも諦めず、トヨタは2020年12月に2代目「MIRAI」を発売する。

2代目では水素タンクを2本から3本に増加。航続距離は初代の約30%増となる850kmと発表された。しかし、EPA基準では647kmにとどまっている。

トヨタは2代目の普及にかなり期待をかけ、年間生産能力を初代の10倍の3万台規模に強化したという。しかし、税込みで710万円から805万円という高価格は、同程度のスペックのEVと比較しても200万〜300万円も高い。