エース孤立・機能不全症

ここからはマーケティングの知識・スキルのレベルの視点から、「成果が出やすい状態」に達していない課題を持つマーケティングチームの症状を解説していきます。マーケティングチームに何かしらの問題意識を感じている方は、どこかで思い当たるものが出てくるかと思います。

問題症状1:エースとほかのメンバーに差があり機能しない

チーム全体の知識・スキルレベルは低いが、エース人材だけレベルが高く、孤立し、機能しにくいチームの症状です(図表2)。

【よくある症状】

・エースだけ知識・スキルのレベルが高いスペシャリストで、さまざまな戦略策定や施策の実行を試みるが、現場メンバーの実行レベルが追いつかず成果が出ない

【この症状に陥りやすいチーム】

・経営判断でマーケティング強化方針となり、外部から実績ある専門家を連れてきたチーム
・創業者だけマーケティングが強く、他のメンバーの育成能力が弱いチーム

出典=『マーケティング思考』(翔泳社)より

初心者集団・会話空中戦症

問題症状2:初心者ばかりで会話が成り立たない

チームメンバー全員の知識・スキルのレベルが低く、マーケティングの会話が空中戦になる症状です(図表3)。

【よくある症状】

・マーケティングを強化しようにも、共通言語となる知識や用語がないため、議論・会話がまったく噛み合わない非生産的な状態が続いてしまう

【この症状に陥りやすいチーム】

・マーケティング力が弱くても成り立ちやすかった、参入障壁が高いインフラ業種
・営業が強く、マーケティング不在でも売上が確保できていたチーム(BtoBに多い)

出典=『マーケティング思考』(翔泳社)より

知識高レベル・連携不全症

問題症状3:知識はあるが連携できない

知識・スキルのレベルが高いメンバーは多いが、連携するための共通言語や定義がなく、連携が悪い症状です(図表4)。

出典=『マーケティング思考』(翔泳社)より

【よくある症状】

・メンバーの多くが知識・スキルを持っている自負があるが、それぞれ使う用語や指標の定義がバラバラで共通言語がなく、課題認識や業務連携がかみ合わない

【この症状に陥りやすいチーム】

・伝統歴史のある大手企業で、教育投資も活発だが、組織間の風通しの悪いチーム
・腕の良い中途採用者が多いが、各々が出身母体の用語や指標の流儀を持ち込み、連携不全を起こしているチーム