おたく体質でのめり込んでいきやすい性格

早いうちから演技をしながら周りの景色を見ることを意識していたのは漫画の影響だった気もします。そのために空中感覚を養うことができたのかもしれません。その意味でも、この作品から得られたものは多かったと思っています。

これまで何回、繰り返して読んだかわからない。全巻分、スマホに入れてあるので、最近でも気がつけば読み返したりしています。

その菊田洋之先生が2018年から描かれた漫画『THE SHOWMAN』は、僕が監修をさせてもらうことになったのです。夢中で『ガンバ!』を読んでいた頃から考えると、信じられない展開でした。『THE SHOWMAN』ではとにかく体操のリアルを追求したいと思い、技をはじめ、試合のときに選手がどういうことを考えているかといった細部にまでこだわりました。

僕はいちどハマると、のめり込んでいきやすいところがあります。

漫画では『ONE PIECE』も愛読しているし、いちばん好きなのは『北斗の拳』です。リアルタイムではなく、高校に入ってから古本で買うようになり、いつもカバンの中に詰めていたのです。やっぱり何度となく読み返しているので、秘孔や技の名前はすべて覚えています。ラオウの解啞門天聴かいあもんてんちょうなんかは好きな技です。

体操を世界でいちばん知っている人間になりたい

最近では『鬼滅の刃』も当然、読みました。最終巻を締めくくるエピソードで、主人公と関わりの深いキャラクターの子孫が体操の金メダリストになっていたことには驚きましたし嬉しかった。

内村航平『やり続ける力 天才じゃない僕が夢をつかむプロセス30』(KADOKAWA)

僕はもともと、おたく体質なのだと思います。10を知っていれば人に説明できるようなことでも、100や1000まで知りたくなる性格です。

体操についても、もちろんそうです。いつ頃からか、体操については世界でいちばんよく知っている人間になることを目指すようにもなりました。

プレーヤーとして頂点を目指すだけでなく、知識の面でも高みを極めたいと考えて、そのための勉強も続けていくようになったのです。

そして、得た知識は練習に生かせたり、応用できるヒントにもなります。ヒントを集めて、自分なりに考える材料にすることもできるのです。

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