五輪金メダリストの内村航平さんは、体操で毎日厳しい練習をこなしてきた。その日によっては「やりたくない」と思うときもあったという。どうやって高い集中力を保っていたのか――。

※本稿は、内村航平『やり続ける力 天才じゃない僕が夢をつかむプロセス30』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

体操競技のつり輪の輪を握る手元
写真=iStock.com/andresr
※写真はイメージです

もし、自分がサラリーマンになっていたら…

自分をコントロールする。簡単そうに見えて、これほど難しいことはないのではないかと思います。

もし自分がサラリーマンになっていたらどうだったか。

もしもあまり楽しいと感じられる仕事ではなくても、まずは心を無にしてやっていたのではないかな、という気がします。作業に徹する感覚です。

僕は体操で毎日きつい練習をしていましたが、本音では、やりたくない日はやっぱりありました。そういうときは、心を無にして、毎日やるべきことを淡々とこなしていったものです。

無の境地というような大げさなことではなく、ただ目を開けているだけで、何も考えない感じです。

練習では準備運動から始めるので、体がきつくて今日はつらいな、というときはその段階から心を無にしていました。どうしてこんなことを続けなければならないのか、といった疑問は挟まない。

それでも、何も考えずに続けていると、少しずつ心が乗ってくる。いつのまにか嫌だという気持ちはなくなり、練習に集中できていたのです。

仕事の場合もそういうやり方が応用できる気がします。

余計な思考を止めてしまい、日課を始められたなら、今日は気持ちが乗らないからやめておくといったことがなくなるはずです。

考えるのをやめられないなら、ひたすら考え抜く

習慣化するコツとしては、「朝起きたらすぐに○○をする」、「AをしたらBをする」というように時間を決めたり、やるべきことを他の行動と関連付けするのがいい、などとも言われているようです。

それはおそらく、その作業を日々のルーティーンにしてしまうことで「なぜ? どうして?」といった疑問を挟まずに始められるようになるからなのだと思います。

こうしたやり方を導入しようとしても、どうしてもあれこれ考えて、拒否反応を示してしまうという人もいるかもしれません。

そういう場合は、真逆の発想で、考えに考えて、考え抜くのもいいかもしれません。

考えるだけ考えた先に、自分なりの答えが見つかり、“何も考えなくなる境地”がある気はします。 そこに行き着けば、行動に疑問を挟まなくなります。