何度も「お母さんは先回りするな」と言われた
例えば晶さんは小学5年生の時点で、「進学希望の高校」を決めている。ドーユーラボで学校の見学に行った際に惹かれたそうだ。
「小学生の時に自分で志望校を決めたのに、中3の受験直前まで勉強しないんですよ」と、直子さんが笑う。
「これはゴールまでの距離感が私と娘では違うからなんです。後藤先生からは何度も『お母さんは先回りするな、お膳立てするな、何もするな』と言われました。『本人に任せなさい。自己決定をさせなさい。直前になったら動くから、失敗するにしても成功するにしてもそれを体験させなさい』と。そういった指導がなければ、私は待てませんでした。先生に言われたから我慢できたんです。私が黙っていると、本人は高校受験の3カ月前から塾通いを希望しました」
何かを強要されること、それに合わせることが発達障害の子どもは難しいのだと改めて感じる。取材の冒頭で「小・中学生時代に楽しかったことと嫌だったこと」を尋ねると、晶さんはこう答えた。
「楽しい無駄は好き。でもめんどくさい無駄は嫌」
「体育の先生が死ぬほど嫌いです。人に対して思いやりを説くくせに、自分は思いやりが微塵もない。それでキレて、生徒会長と一緒に抗議にいこうとしました。でも別の先生が間に入ってくれて、一応解決しましたけど。あと、イベントが死ぬほどつまらない。やりたくもないことをやらされて……生徒会長のあいさつにまで感想を書けといわれる始末。なんなんだあれは」
怒った口調でぶつくさと言う。そして勉強も、個別指導がいい、と訴える。
「授業中にわからないことが出てきても、聞くことができない。授業はそのまま進めなきゃいけないんだから。だったら家で自分で調べたほうがわかる。わからないところをわからないまま進められても困るし、わかっていることを1時間長々と説明されても困るし。みんな塾がいいよ」
かといって効率性を求めているわけでもなく、
「楽しい無駄は好き。でもめんどくさい無駄は嫌」という。
「小学生の教頭先生が……めちゃくちゃいい人でした。私が『教室に行きたくない』って言っている時、『一緒にやろう』って米の皮むきを手伝わされたことがあって。それ、けっこう楽しかった」
端から聞くと、まるで楽しそうではないが、何が良かったのだろうか。「なんだろ。落ち着けたことかな」と、晶さん。
それではドーユーラボについての感想はどうだろう? と思い、尋ねてみると「いいと思います」と、一言。