細野晴臣、山下達郎、大貫妙子らが集結

村井邦彦は、編曲された譜面を演奏するだけの歌謡曲のスタジオミュージシャンではユーミンの魅力を引き出すことができないと判断し、細野晴臣率いるセッショングループ〈キャラメルママ〉と組み合わせることに決めた。

写真=iStock.com/Instants
細野晴臣率いるセッショングループと組み合わせることに(※写真はイメージです)

キャラメルママのメンバーは、ベース・細野晴臣、ドラム・林立夫、ギター・鈴木茂、キーボード・松任谷正隆、の4人で、のちに〈ティン・パン・アレー〉と名を変えて世に知られることになる。

このメンバーに加え、コーラスとして山下達郎、大貫妙子、吉田美奈子、山本潤子が加わった。現在、右記のミュージシャンを全員集めて作品を創ることは不可能だというほどに豪華なメンバーだ。

素晴らしい作品だが売り上げはイマイチ

1973年11月20日にリリースされたファーストアルバム『ひこうき雲』は素晴らしい作品に仕上がった。

しかし、売り上げに関してはイマイチだ。3万枚という数字は新人のアルバムとしては悪くないが、投資を回収するにはほど遠いものだった。

荒井由実の2作目には、僕がプロデューサーとして参加した。

アルバムタイトルの『MISSLIM』は、「やせっぽちの女の子」を意味する「MISS SLIM」という言葉をくっつけて作った造語だ。

アルバムジャケットの写真はタンタン(※2)の家のピアノの前で、タンタンがドレスを着せて撮影したものだ。

※2 川添象郎氏の父、川添浩史の再婚相手である川添梶子のこと。

荒井由実自身がすべての楽曲の作詞・作曲を行ったこのアルバムは『ひこうき雲』を凌ぐ完成度であった。

しかし、この作品の売り上げも3万枚程度に留まることになる。