こうした悩みに直面していた2014年に、米国のシリコンバレーのオフィスで、変わったインド人に出会いました。彼は、マイクロソフトの社員ではなく、個人事業主としてデータセンタープロジェクトに参画していました。
機密性の高いデータセンタープロジェクトに入るには相当高いハードルを乗り越えなくてはなりません。しかし彼は、そのような待遇を受けるに値する、特別な経験を有した超スペシャリストだったのです。
複数の巨大IT企業を股にかけるスペシャリスト
彼は英語があまり得意ではありませんでしたが、過去の経験をもとにしたプレゼンテーションは多くの人を魅了し、次々に重要事項を決定へと促していました。私も負けじと英語で議論に参加しましたが、何度も彼に論破されてしまいました。
落ち込んで宿泊先のホテルに帰ろうとしたところ、突然、彼が私に「一杯飲みに行かないか? その代わり、君のおごりだぞ(笑)」と声をかけてくれたのです。
アルコールを飲めない私はそうした誘いを受けることが少ないのですが、彼自身に興味があったので、オフィス近くのレストランに飲みに行くことにしました。直後に日本とのオンライン会議が入っていたため、「1時間だけ」と決めて。
飲み始めるやいなや、彼は「面白いものを見せてやる」と言って、複数の会社の入館証を見せてくれました。マイクロソフトのみならず、他の著名なIT企業も含め、実に4つのプロジェクトに参画していたのです。
さらに驚かされたのは、データセンターに関することだけでなく、オンラインサービスやワインの輸出に関する企画など、多種多様なプロジェクトに参画していたことでした。
「アグリゲーター」という理想の職種
「名刺も複数持っているの?」と私が聞くと、「これしかない」と言って1枚の名刺を見せてくれました。そこに書かれていた肩書は「アグリゲーター」というものでした。
「アグリゲーター」とは、人・モノ・情報を瞬時に組み合わせてクライアント企業の課題を解決する新しい職種や働き方のことです。