雑草はどんな環境でも生き抜くことができる最強の生物です。それが可能になったのは「変わること」と「変わらないこと」をしっかり見極めて、自分が変わることに注力したからです。そのため、外部環境の変化に対応しやすいのです。

ビジネスの世界を生きる私たちも同じです。現在所属している企業・団体などに依存することなく、世の中の変化にアンテナを張り、自分の行動を少しずつ変えていく。

それを継続できる人だけが、変化の激しいこれからの時代を生き抜き、成長を続けることができます。

役員の肩書を捨て、冒険の旅へ出る

身をもって変化を体現しようと、2016年末をもって、私は11年半勤めたマイクロソフトを卒業しました。

越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)
越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)

最後はWord、Excel、PowerPoint、クラウドビジネスの担当役員を任されていたため、「なぜ辞めてしまうの?」「もったいない」と多くの言葉をかけられました。

退社直後に株式時価総額世界一となったマイクロソフトにそのまま在籍し続けていれば、安定した給与をもらうことはできていたかもしれません。その可能性は否定しません。

しかし、マイクロソフトを卒業してすぐにわかったことがあります。それは、私が高いレベルでビジネスを行うことができていたのは、マイクロソフトがそのための環境を用意してくれたからだ、という身もふたもない事実です。

あたかも社員個人が、実力でその高いステージに登ったかのような錯覚におちいれば、慢心して自分磨きをおこたってしまいます。

私自身、あのまま在籍していたらそうなったかもしれない、と強い危機感を覚えたのが2017年の起業直後のことでした。

人生を変えた「ある出会い」

私は仕事が大好きで、寝食を忘れて働くこともありました。そのおかげで体を壊し、出社できなくなる経験もしました。

とくに私の場合は、仕事に取り掛かってエンジンがかかると長時間の作業を続けてしまう癖があり、睡眠不足に陥ることも度々でした。

関わるビジネスに対する関心が広がり、それはさまざまな業界に及んでいきました。興味本位で仕事を増やし、でも長時間労働から脱出できないという状況は長く続きました。