一方で大企業の側は、その規模を維持・拡大していくために、俗に「3分の1が辞めてしまう」といわれる状態であるにもかかわらず、大卒新入社員を大量に採用し、過去の栄光にしがみつく年配社員に高額な給料を払い続けています。

これが果たして「安定した企業」といえるのでしょうか。残念ながら、これが現実なのです。

会社に一生涯の保証を求めるのは限界

事実、私が新卒入社した1996年の株式時価総額ランキングトップ10のうち、現在でも変わらず残っているのは何社かわかりますか。答えは「たった4社」。

日本の株式時価総額の上位であるトヨタ自動車の豊田章男社長が、2019年5月に「なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言し、大きな話題になりました。大企業に入ったら退職するまで安定していて、給料が着実に増えていくというモデルは、もはや現実的なものではなくなっているのです。

だからといって、「ベンチャー企業に入れ!」「自分で起業しろ!」と言いたいのではありません。

これからの時代を生きる学生、20代、30代は、自分のいるフィールドにおいて、正しいスキルアップの方法を身につけること、しかも、その努力を絶え間なく継続することが必要不可欠だ、と言いたいのです。

ビジネス人生はRPG

ロールプレイングゲーム(RPG)にたとえるとわかりやすいでしょう。

たとえば、ドラゴンクエスト(ドラクエ)のゲーム序盤に経験値を稼ぐモンスターとして最も有名なのは「スライム」かもしれません。でも、ザコキャラを倒し続けてレベルアップできるのはごく初期段階だけ。

個人で戦い、十分にレベルアップをしたら、今度は仲間を増やしてパーティー(チーム)を作っていく。そして、より遠くへ冒険の旅に出る。

外部環境と自分の能力、そして、ちょっとだけ将来を見据えて、行動を変えていきながらレベルアップし、より強いモンスターと戦い、活躍のフィールドを広げていく。しかもそれを、オープンワールド化する世界で行っていく──。