安倍元首相は財務省との戦いに破れた

【森永康平】日本経済がダメになった原因は財務省にある、という意見も多いですが、むしろ構造改革のほうを主な原因に挙げられるんですね。

【森永卓郎】構造改革と緊縮財政の両方が日本をダメにしたと思います。

経済アナリストの森永卓郎氏(写真=YouTubeチャンネル『森永康平のビズアップチャンネル』より)

安倍政権の時、2013年度は少しだけ財政出動しましたが、その時は景気が良くなりました。

その後、財務省に説得されたのかは分かりませんが、安倍さんは消費税を2回も上げるという大失敗をしてしまった。あれがなければ日本はもっと良くなっていたと思います。

【森永康平】かつては構造改革の影響が大きく、2010年くらいから緊縮財政の影響が大きくなっているというお話でしたが、積極財政派はむしろ1997年くらいから緊縮財政による悪影響が始まっているという意見が多いと思います。

【森永卓郎】安倍さんは自民党の政治家のなかで唯一といっていいくらい、財務省と戦った政治家なんですよ。アベノミクスの3本の矢は、金融緩和、財政出動、成長戦略です。金融緩和の次には財政出動をしようとしていたんです。

財務省という組織は、増税はどんどんしたほうがいい、歳出はいくらでもカットするべきという、非常に強い教義を持っています。

その組織との戦いに、安倍さんは破れたのだと思います。