自分は何を嫌がっていたのか

メンテナンスを頼めばいいのでは? 社交的な人はそう思うだろう。しかし私は極力人と会わない暮らしを実践している人間だ。

村井理子『いらねえけどありがとう いつも何かに追われ、誰かのためにへとへとの私たちが救われる技術』(CCCメディアハウス)

動物はいい。

しかし、知らない人はダメだ。

普段、家のなかに閉じこもって暮らしていると、エアコンのメンテナンス・修理を頼むということは、大きな決断となる。家のなかに知らない人を、少なくとも1時間以上迎え入れる。部屋の掃除をしなくてはいけないし、仕事も中断しなければならない。人と会うストレスも大変なものだ。

しかし背に腹は代えられず、渋々修理を依頼し、メンテナンスの男性がわが家にやってきた。

60代ぐらいの方だっただろうか、とても静かにやってきて、エアコンや室外機のチェックを素早く終え、部品を一部取り替え、あっという間に修理を完了させると、内容説明をしたうえで、去っていった。

感動する手際だ。自分は一体何を嫌がっていたのだろうと思わずにはいられなかった。プロとは、このように短時間で結果を出す人なのだと感動し、彼が残したアンケートハガキに記入し(満点評価)、そしてポストに投函した。

悩む数時間は浪費、アウトソースの方が経済的

何を言いたいのかというと、悩む時間を過ごすよりも、プロに即座にアウトソースしたほうがよっぽど経済的だということ。悩んだ数時間は、誰の人生にとっても二度と戻らない時間なのだ。

年末になると一斉に大そうじの圧が迫ってくる。今年の汚れは今年のうちになどと言われるが、そんなのよけいなお世話である。それでも年末年始はさわやかな気持ちで過ごしたいから、私は「小そうじ」を適当にやって、あとはピザやカニの注文に全力を注ぐことにしている。今年と来年の間に境界線があるわけでもあるまいし、今年の汚れも来年の汚れもまるごと愛していこう。

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