仕事や育児や介護に追われる毎日を、どうやりくりしていけばいいのか。夫と高校生の双子の息子、50キロの大型犬と生活しながら義父母を介護している翻訳家でエッセイストの村井理子さんは「些細な工夫を積み重ね、隙間時間を無駄にせず、時に堂々とサボる。嫌なことがあったら家事を投げ出しふて寝すればいい」という――。(第1回/全3回)
※本稿は、村井理子『いらねえけどありがとう いつも何かに追われ、誰かのためにへとへとの私たちが救われる技術』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
「雑巾の呪い」から解放された
トイレットペーパー
ペーパータオル
雑巾が好きではない。これは小学生の頃から続く呪いだと思っている。なぜ私たちは各自雑巾を管理させられていたのだろう。給食が終わると掃除の時間で、毎日雑巾で床を磨いていた。とてもつまらない作業だった。あの頃のどんよりとした気持ちが、雑巾を見るたびに思い出される中年に成長してしまった。
数年前に大病をしてから生活スタイルを大幅に変え、わが家から排除されたもの。それは雑巾だった。大げさだが、これは私にとってはゲームチェンジャーとなった。
雑巾の代わりに登場したのが、ペーパータオルやウェットタオルといった類の製品だ。それらをたっぷり揃えて、使いまくっている。
エコではないと思いつつ、できんもんはできんのだ。
ダイニングテーブルを拭く際に使う、厚手の食卓テーブル用ウェットタオル、キッチンを掃除する際に使う洗剤つきのウェットタオル、トイレ掃除のためのお掃除シート、フローリングを掃除するためのシート……。とにかく、こういった製品を迷うことなく、ある意味贅沢に使用するようになった。
それで何が変わったかというと、実は家のなかがきれいになった。すぐに手が届く場所にこういった製品があることで、隙間時間にこまめに掃除するようになったのだと思う。そのうえ、嫌いな雑巾が消えた。いままで何を我慢していたのだと思う。そのうえ、家がきれいだと幸福感が増すし、仕事がはかどるのだ。つまりひとつの工夫でふたつのごほうび(雑巾が消え、仕事がはかどる)だ。
些細な工夫だったとしても、生活は大きく変わってくれるのだ。