記録は未来のわが身を救ってくれる

自他共に認める記録魔だ。

忍耐が必要な事務作業は苦手だが(たとえばレシートを集めるなどといった作業にはかなりの苦労を伴う)、起きたことをそのまま撮影して記録すること、写真に添えて文章を残す作業は、まめにやるほうだと思う。

過去に見た光景を思い出して文章に書き起こすことも多い。自分でも恥ずかしくなるほど、映像や画像に残す行為を躊躇ちゅうちょしない。

もちろん、何から何まで撮影するなんてことはしないけれど、普通だったら撮らないよねというようななんの変哲もない景色、道路に転がった小さなものなどを、しっかり撮る。なんでもないものから何かを導き出したいと、常に書くことを探しているからかもしれない。もちろん、堂々とというよりは、焦ってこっそりやっているのだが。

この記録魔の一面に、いままでどれだけ助けられてきたかわからない。何か問題が起きたとき、残していた写真で解決できたことは多々ある。そこにメモをつけておくクセは数年前に定着した。難解な作業(たとえば葬式の喪主とか、相続手続きとか)の連続は、このルーティンを私の暮らしにしっかりと植えつけたと思う。

スマートフォンを使った記録は簡単な日記のようなものだ。

後日、それが原稿となって世に出ていくこともある。写真を見たことがきっかけとなり子どもの学校行事を思い出すこともあったし、学校から配られるプリントはすべて撮影し、子ども別にラベルを設定してGoogle Keepにアップロード、そのうえリマインダーを設定しているため三者面談の日程を忘れるという恐怖の体験を回避したこともある。こういった記録の積み重ねが、隙間時間を使った作業の前倒しの一部となっているのは言うまでもない。

多くの人がスマートフォンを持つ時代になったことで、自分の苦手を克服する手段も増えた。素晴らしいことだと思う。

歯医者も美容院も予約は死守せよ

主婦、双子の母、大型犬の飼い主、翻訳業……。確かに、私の人生は忙しい。

忙しいながらも、どうにかして生きている私に、「どうやったら時間のやりくりができるのですか?」との質問が多く寄せられる。自分自身は、嫌なことは先送りしてしまうタイプの人間だし、毎日昼まで寝たいし、料理も面倒だし、社会人として失格だなといつも思っているのだけれど、たったひとつだけ、時間を節約するために自分に課していることがある。それは、予約をキャンセルしないというルールだ。

たとえば歯科医院や美容院などがそれに当たる。急ぎの仕事が入ったときに限って、「あ! 今日は歯医者だった!」とか、「あ、今日は髪を切る日だった」なんてことがよく起きる。

私の場合もそんなケースが多い。こういうピンチになると、思わず、予約をキャンセルしてしまおうかな……と考えるものだが、私はそんな気持ちを抱く自分を厳しく叱るようにしている。

写真=iStock.com/maroke
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