笑いながら大泣きする遺族や参列者たち

「おおおおおお!」

ご参列の皆さまのどよめきに合わせたかのように、祭壇横の左右の扉が開き、踊り手たちが列を成し、踊りながら入ってきました。本格的なプロの皆さまのひょっとこ踊りですから見応えがあります。そうして皆さまの前で美花さまがしばし踊りを披露しました。

二手に分かれた踊り手の列は、交差しながら皆さまの前をゆっくりと通りすぎ、そのまま祭壇横の左右の扉へと進んでいきます。これを見たご遺族の皆さまも、参列している皆さまも、拍手をしながら大喜び。笑っているのに大泣きしています。私は心の中で「あっぱれ」と叫びました。美花さまと、福蔵さまのお弟子さんたちは、福蔵さまから受け継ぎ、学んできたこの伝統を披露することで、供養とされたのです。

総勢約20名の踊り手に拍手と歓声が

先頭で踊っていた美花さまは、扉を出ると控え室で素早く着替えて親族席まで戻り、踊り手の最後の人が扉を出ていくまで見守っています。踊り手が完全に見えなくなってから、曲は静かに止まりました。

踊り手が斎場の後方部にそろったところで、美花さまが、「皆さまおなじみのひょっとこ踊りでした。最後まで見てくださいまして、ありがとうございました」と、よく通る声であいさつされました。そして後方部を指差して、「私と踊りを一緒に披露してくださったプロの踊り手の皆さまです。拍手をいただけるとうれしいです」

言い終わらないうちに、斎場内から大きな拍手と歓声が起こりました。踊り手に、「ありがとう」「素晴らしかった」「こんなに素晴らしいお葬式は見たことがないよ」と、うれしい言葉をかけています。踊り手は総勢20名ほど。皆福蔵さまの教え子ですから、おじぎをしながら泣いています。その姿がまた、ご参列の皆さまの涙を誘っています。