ボツになった「足だけ毛布」と「首元専用毛布」
――「スマホ毛布」というアイデアは、どなたがどういう状況で思いつかれたのでしょう。
【小田】私たち商品開発の人間の生活実感というか、暮らしのなかの「困りごと」から生まれました。寝ながらスマホを使っていると、肩や腕が寒い。「寝ている時体に毛布をかけたままスマホが使えたらいいよね」「じゃあ毛布に手を通せる穴を開けてみようか」という会話がきっかけです。
もともと日本には「かいまき」という袖のついた夜具がありますし、弊社にはNウォームでできた「着る毛布」もあります。これらがヒントになりました。
ボツになってしまいましたが、「足だけ入れる毛布を作ってみようか」というアイデアもあったんですよ。「足だけ毛布」とか「首元専用毛布」とか、3つ4つのアイデアがあったなかで、「スマホ用」に絞り込んでいきました。
――社内で「困りごと」ベースの議論をするのは、たとえば定期的に会を開いたりして、社内でシステム化されているのですか?
【小田】はい、そういう会が社内にいくつかあります。寝る時だけに限らず、「キッチンで」とか、「リビングで」とか、シーンごとの小さな不平・不満・不便を集めて、「こんな商品があったらいいよね」というアイデアを出し合っています。社内だけでなく、お客様からの声を集める営業部隊もいて、そこから吸い上げられた情報は、私たち開発側に届きやすい仕組みになっているんですよ。
似鳥会長がニコッとした
【小田】ほかにも社内には、私たちから会長・社長向けにプレゼンをする会があります。いわゆる開発会議ですね。なかなか緊張する会ですが、そこで実際に会長や社長に見てもらい、場合によっては実際に試してもらって、「オッケー」と言われたらようやく具体的に動ける。そういう会があるんです。
「スマホ毛布」を会長・社長にプレゼンした時は、実際に寝てもらって、毛布から手を出して試してもらいました。会長も最初は「なんだ、これは」と思ったかもしれませんが、実際に腕を通したとたんニコッとして「なるほどね」と言われました(笑)。心の中でよっしゃと思いましたね。