求人にも有効だったユニークな理念とビジョン
アクサスは行政処分後に、積年の課題だったSESから労働者派遣事業への転換への取り組みを積極化する。労働者派遣事業を行うには、ITエンジニアを自社で雇用しなければならない。ITエンジニアは転職者の多い人材領域ではあるが、彼らは引く手あまたである。アクサスの求人に彼らがどれだけ応じてくれるのか。
求人を始めてみると、アクサスが定めていたユニークな理念とビジョンが効果を発揮する。転職市場のITエンジニアたちは、金銭面の報酬だけで仕事を選ぶわけではない。やる気のある人間がきちんと評価され、やりたいことに没頭できる職場かを気にする人たちも少なからずいる。こうした人たちがアクサスに集まってくるようになる。
さらにアクサスは「分不相応採用」という、自社に不釣り合いとも思える高度人材に積極的に声をかけ、採用を進める取り組みも始める。未来に向けてアクサスが変わっていくことへの期待感を、社内に醸成することを意図した取り組みだったが、ここでも採用候補者を口説くうえで、理念とビジョンが役立つことになる。
女性活躍を推進する企業としての評価も得る
とはいえ、これらだけではアクサスにとって十分な数の人材は確保できなかった。そこで、未経験者を採用し、社内でITエンジニアに育成する取り組みも開始する。当然ながらそこには、採用した未経験者を育てる仕組みが必要となる。
アクサスでは、未経験者を経験者との組み合わせで派遣するようにしたり、保守・管理などの未経験者でも担当しやすい派遣領域を確保したりしていくことで、採用した未経験者を一人前のITエンジニアに育て上げる体制を整えていった。未経験者の募集を始めてわかったことだが、応募者には女性が少なくなかった。想定外ともいえる女性応募者を積極的に採用した結果、アクサスは2021年のWOMAN's VALUE AWARDの企業部門最優秀賞受賞など、女性活躍を推進している企業としての注目度も高めていく。