家庭に入る女性は子育て以外の「自己実現」のツールに乏しい

人間、年を重ねると、これまで手に入れたものに執着するようになる。そこから、会話の中にも、昔の話の割合が多くなったり、子どもに関する話題、とくに自慢話が多くなったりするようになる。

男性の場合、自分の出世をあきらめたころから、その傾向が強くなる。

年をとると、新しいものに対する適応力が悪くなるため、どうしても古いものにしがみつこうとする。これも老いの一つのパターンである。跡継ぎのことを考えたり、発想が次の代のことに移ってきたりするのも同類だ。

会社での会話の中に、兄弟や子ども、家族のことがさかんに出てくるようになったら、老いを自覚するべきである。

女性の場合は、やや事情が異なる。というのも、母親が子どもの教育についてあれこれいうのは、男性と違って、自己実現の手段があまりなく、どうしても子どもの教育に向かってしまうところがあったからで、それをもって老化と断ずるわけにもいかない。

いまでこそ女性が男性に伍して社会進出したり、結婚しても仕事を辞めなかったりするケースが多くなったが、昔は、仕事を辞めて専業主婦になったら、子どもの教育で自己実現するぐらいしか方法がなかったのだ。

これからは、それも少しずつ変わってくるのではないかと思う。

子供以外の関心を持つ

ただ、それでも、子どもにばかり気がいって、受験とか就職のことばかりに熱中していると、おのずと自分の身辺に注意がいかなくなったり、女としての自分を見ようとせず、母親的側面のほうが強くなったりする。

子育てや子どもの受験ばかりに躍起になっていると、同窓会で会ったときなど、独身でずっと仕事をつづけてきた人と、見た目の若さに大きな差異ができていることに気づかされるだろう。

やはり、子どもにしがみついていると、どうしても老けやすくなる。いまのアラフォーとかアラフィフとか美魔女とかいわれる女性たちは、それほど子どもべったりではないのではないか。

老けたくなかったら、子ども以外に興味・関心をもつこと。

とくに恋愛でなくてもいい。たとえば料理とか、テニス、エステでもいい、カルチャースクールに通って勉強してもいい。

なにかしら子ども以外に自分を伸ばそうとか、若さを保とうとか、そういう試みをしていかないと、子どもが離れたとたん、どっと老け込んでしまう。

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「何かで勝とう」と思い続ければ若さは保たれる

老化を防ぐ方法として、女性の場合、着飾るとか美魔女に走るとかの方法はあるが、男の場合は、やはり上を目指すことだ。

ゴルフをやるにしても、ほかに身体を動かすことがないからとか、健康のためとかいうのは、老いのサインだ。

和田秀樹『70歳80歳を笑顔で超える生き方』(さくら舎)

そうではなく、スコアにこだわって、「絶対に勝ってやるぞ」と思ってやること。そうした闘争本能があるうちは、まだ若い証拠だ。負けても平気になったら、要注意。

人間は、40代、50代で、ある種の停滞現象が起こる。体力的にも能力的にも、あるいはルックス的にも、上昇停止が起こってくる。そのときに、ほかのなにかで勝ってやろうと思う人は、若さを保ちつづけられる。

闘い方がだんだん変わってくると、つい子ども自慢になったりしがちだけれども、そうではなく、どの分野でもいいから、たとえばオタク的なことでもいいから、自分自身のことで、多少なりとも人に勝ちたいと思うことだ。

子どものころの勝ち負けは、勉強とかスポーツとかにかぎられているが、その点、大人の場合は、いろいろな面で人に勝てるところを見出すことができる。

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