忘年会への「期待値」と「会費」がアンバランスだと憂鬱になってしまう

私が産業医面談を通じて知る限り、社員達にとって忘年会や新年会は、“誰と”で“いくら”かが大切で、いく前から期待値は違うようです。また、実際に参加すると、(会費が)高いから楽しいとは限らず、仕事がらみの会は高いが疲れて楽しくない、旧友との会などは安いけど楽しいなど、皆、過去の経験から色々思うことがあるようです。

最近は減りましたが、以前はタバコの煙の匂いが嫌だ、帰宅すると家族に嫌がられるなどの訴えも聞くことがありました。

つまり、忘年会/新年会への期待値と、実際の会費(コスト)や楽しさがアンバランスであること、このバランスに納得感が持てないことが、飲み会の憂鬱の原因なのでしょう。

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「結婚の話を持ち出されるのが不快…」帰郷が辛いBさん

Bさんは30代前半の一人暮らしの女性社員でした。

彼女は大学時代から一人暮らしをしていたため、九州の実家に帰っても、話の合う友人はいないし、親戚ともあまり話が合わず気が休まらない、むしろ気疲れするだけだとおっしゃっていました。正月に親戚が集まると必ず結婚の話を持ちだされ不快だが、親の手前笑顔で流すよう努めるため気疲れが多く、それが実家に帰りたくない理由の1つでもありました。

次第にBさんは、年末年始は実家に帰らず旅行をして年越しをするようになりました。この2年間は、コロナ禍を理由に年末年始も東京にいたものの、今年は両親が帰郷することを強く望んでいるようで、どうするべきか悩んでいるとのことでした。Bさんは実家に帰らずとも、大晦日や初詣は一緒に過ごす友人たちがおり、寂しさは全くないようです。しかし年々独身の友人も減り、また、今年は実家に帰る友人も多く、一人東京で年末年始を過ごすと寂しいかもしれないと感じることが、実家に今年は帰らないと決めきれない理由でもあるようでした。