忘年会や義実家への帰省など、年末年始の予定が憂鬱で仕方ない時にはどうすればよいか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「気がすすまない忘年会や新年会は、断りましょう。Noと言って断ることができる人は、そもそも憂鬱にはなりません。断ることができない人に、お勧めしたい断り方があります」という――。

忘年会もお正月休みも楽しめない人たち…

こんにちは、産業医の武神です。早いものでもう12月です。私のクライエントでは久しぶりの忘年会、年末年始のお休み、年明けの新年会などの計画の話を聞くようになりました。このように楽しいはずの12月ですが、この時期になると必ず、12月は憂鬱だという社員が時折産業医面談にきます。

そこで今回は、この憂鬱の原因と、取り除くためのたった1つの習慣とお正月休みでばっちり回復する方法について、お伝えします(秋から冬にかけての季節性の憂鬱について書いた11月の記事と合わせてお読みいただけますと幸いです。)。

どうして12月が憂鬱なのでしょうか。

それは、この時期のイベントの期待値と実際がアンバランスであることが理由です。忘年会と新年会という“飲み会”と、年末年始の“休暇”に分けて、2つの産業医面談ケースより考えてみましょう。

企業パーティーで悲しい退屈な男の肖像画
写真=iStock.com/JackF
※写真はイメージです

会社の忘年会がどうしても嫌だというAさん

11月中旬に産業医面談にきたのは、入社10年目の業務部のチームリーダーの40代男性のAさんでした。

Aさんは、面談が始まるとすぐに、「忘年会、参加したくないがどうにかなりませんか」とおっしゃいました。もともとお酒が飲めず、そのような席も好きではないとのこと。ここ2年間はコロナ禍のため、会社での忘年会がなくよかったが、今年は忘年会が復活するようで、そのことを思うと気分が優れないとのことでした。どうして忘年会が嫌なのか聞いてみると、「忘年会って実際お金や時間の無駄ですよね。飲まないのに飲み放題の料金を払うこと。部署の忘年会とチームの忘年会が恒例であること。会費は役職により変わるので、かなりの出費であること。また、上司に気を遣う会は楽しくないし、部下が自分に気を遣っているのを感じることも嬉しくない」などを挙げられました。

忘年会にお金や時間を費やすならば、プライベートな友人達や家族でもっと楽しく有意義に使いたいとのこと。実際、大学時代の旧友たちと毎年年末に集まるが、最近は誰かの家で鍋をやるため、会費ももっと安く、また、気を使わないで済すむので楽しいとのことでした。