がんが薬物療法だけで治る時代が来る⁉︎

もしかしたら、薬だけで直腸がんが治る時代がやってくるかもしれません。これまでも、ドスタルリマブと同系統のメカニズムで効果を発揮する免疫チェックポイント阻害薬には、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)をはじめとして、いくつかの種類がありました。それぞれ良い薬なのですが、直腸がんに対してドスタルリマブほど劇的な効果は示しません。ドスタルリマブの効果が本当だとしたら、いったい他の免疫チェックポイント阻害薬と何が違うのでしょうか。その理由が明らかになれば、さらに効果のある薬を作ることが可能になるかもしれません。

ただし、課題はまだいくつもあります。少数の患者さんだけを対象にした臨床試験で、長期的な予後がまだわかりません。また規模が小さい研究では、偶然に薬の効果が過大評価されたものが注目されがちで、追試では期待したほどの効果が示されないこともあります。あるいは画像検査でがんが消失したように見えても、少数のがん細胞が残っていて再発するかもしれません。だとしたら、やはり手術は必要です。

こうした課題については、今後の研究によって明らかになっていくでしょう。ドスタルリマブは欧米でも直腸がんに対しては未承認ですが、今後の研究で効果が確認されれば承認され、標準治療となって多くの患者さんがその恩恵を受けられます。ただ、すべてのがんに効くわけではなく「ミスマッチ修復機構欠損によるステージII~IIIの直腸がん」限定の話です。他のがんに対しては、別途きちんと臨床試験が実施され、結果が論文として発表され、多くの専門家の検証に堪えなければ標準治療にはなりません。こうして一歩一歩改善されてきた治療の集大成が、現在の標準治療なのです。

関連記事
「こんなに急に悪化するとは思わなかった」これから親を看取る人は知っておきたい"老衰死の経過"
「10万人の胃腸を診た専門医が警鐘」日本人の約5割が毎朝食べている胃腸に最悪の"ある食べ物"
ノーベル賞候補だった抗がん剤の権威の"遺言"「感染症、がん…万病の予防が期待できる野菜の調理方法」
あなたは「カモノハシの赤ちゃん」の画像を探せるか…拡散情報にダマされる人が検索でやりがちなこと
朝から晩までテレビの前でボーッとしている…医師が実母の認知症に気づいた「生活の変化」とは