歩く時間帯によって、ウォーキング中の脳番地の使い方をコントロールするのもおすすめです。仕事終わりで脳の疲労を感じているようなときは、なるべく人混みや店が立ち並ぶ通りは避けて目に入ってくる情報量を減らし、ボーッとしながら歩くことで脳の疲れを癒やします。
歩くことが健康維持につながるのはもちろんのこと、適度な疲れを感じることで睡眠の質が高まることも、脳にとってはとても重要なファクターです。私は、毎朝1時間歩くことを習慣にしています。運動系脳番地を積極的に動かすことで、脳番地のエネルギーはアップし、頭をよくするのですから、歩くことを軽視せず、毎日の習慣として取り入れていきましょう。
寝る1時間前にスマホをいじると記憶が定着しにくくなる
よく知られているように、眠りには浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」があり、これを1セットとして一晩に何度か繰り返しています。
人の脳は眠っている間にも活動し、浅い眠りの「レム睡眠」のときに記憶を再生・整理し、深い眠りの「ノンレム睡眠」時に長期記憶を形成するとされています。レム睡眠とノンレム睡眠が交互に訪れるような睡眠のリズムが整っていないと、人は賢くなれないのです。この睡眠のシステムを利用して、眠る前に頭の整理をすることで、より記憶は定着しやすくなります。
毎日、寝る1時間くらい前に、覚えたいことを振り返って、整理してみます。これだけでも記憶系を働かせることができておすすめですが、さらに一歩踏み込んで、これはしっかり記憶しておきたいという内容について、復習するようにします。声に出すことで聴覚系脳番地を働かせ、海馬に「これは重要だから覚えておいてね」というメッセージを送り、寝ている間に記憶に定着しやすい状況を作っておくのです。
ここで注意したいのは、記憶に定着させたいことを復習したら、他の情報をなるべく入れないようにすることです。脳には、より最新の情報を上書きするような仕組みがあります。なので、ベッドに入ってからスマホをいじったりしてしまうと記憶の撹乱が起きて、覚えておきたかったことの定着率を下げてしまうのです。
1日の終わりに今日を振り返ったらさっさと寝る。これが記憶力を高める寝る前の勉強法です。
最低でも7時間以上の睡眠を確保したほうがいい
また、脳番地を働かせるという観点からも眠りは重要です。日中の脳は、神経細胞やグリア細胞(神経細胞以外の細胞の総称)などの活動で埋め尽くされ、疲労物質などが溜まりやすい構造になっています。
ノンレム睡眠時は脳内のごみ処理も行われるため、疲労物資が排出されやすい環境です。認知症にも関わるアミロイドβやタウタンパクの排出にも深く関わっているため、しっかり眠ることが脳の健康には欠かせません。生体リズムの観点からは、22時には眠るのが望ましいのですが、ビジネスパーソンにとっては少し難しいと思うので、できれば23時、遅くとも日付が変わる前に眠ることを心がけましょう。
ちなみに、アメリカの睡眠財団では26~64歳の推奨睡眠時間を7~9時間としています。しっかり7時間以上の睡眠を確保することも大人の勉強法には必須です。