なぜ炭水化物が脂肪に化けるのか

ボウル1杯のシリアルが血糖値スパイクを起こすというのは、よく考えれば当然だ。シリアルは、精製したトウモロコシや精製した小麦穀粒を加熱し、押しつぶしたり膨らましたりしてさまざまな形にしたものだ。純粋なデンプン(植物がグルコースからつくるもののひとつ)で、食物繊維は残っていない。さらに、デンプンだけではそれほどおいしくないので、砂糖(グルコースと果糖でできるショ糖)が加えられる。ビタミンやミネラルも混ぜられるが、そのメリットはほかの成分のデメリットを打ち消すほどではない。

ジェシー・インチャウスペ『人生が変わる 血糖値コントロール大全』(かんき出版)

グルコースという同じ親をもつデンプン、食物繊維、果糖、ショ糖は、それぞれ性格の違う4人のきょうだいのようなもので、この家族の名前を「炭水化物」と呼ぶのが一般的になっている。

グルコースを食べると、インスリンの生成を促してしまう。インスリンはグルコースの猛襲から体を守ろうとして、グルコースを血流からとり除く。すると、新たに消化された分子が燃料として体中を巡るかわりに、グリコーゲンや脂肪として貯蔵されてしまう。

このことは科学的実験によって立証されている。2種類の食事を比べると、炭水化物の多い食事のほうが、消化後に血流内のエネルギーが少なくなった。朝食にたくさんの炭水化物をとればとるほど、使えるエネルギーは少なくなるのだ。

糖やデンプン中心の朝食が一日を台無しにする

大きな血糖値スパイクを引き起こす朝食をとると、またすぐにお腹がすく。それだけでなく、朝食のせいで1日中血糖値の調節が異常になり、昼食や夕食でも大きな血糖値スパイクが起きる。いってみれば、血糖値スパイクを起こしやすい朝食は、グルコースのジェットコースターへの片道切符である。その一方で、血糖値曲線を平坦にする朝食をとれば、昼食や夕食でも血糖値が安定するだろう。

そのうえ、朝一番の空腹時は、体はグルコースに対してもっとも敏感になっている。シンク(胃)が空っぽなので、入ったものがすばやく消化される。そのため、朝食に糖やデンプンを食べると、その日最大の血糖値スパイクを起こすことが多い。

朝食は、糖やデンプンだけを食べるのに最悪のときだ。でもこのときに、ほとんどの人が、糖とデンプンしか食べていない。

あなたも、いつもの朝食の内容を書き出してみよう。どれがデンプン? どれが糖? 朝食に糖とデンプンしか食べていないのではないだろうか?