「国民の目にはどう見えるかが分かっていない」

「岸田首相自身、世襲三代目です。いずれ翔太郎氏に四代目を継がせることは既定路線。以前から『就任一年で山本(秘書官=筆者注)と息子を交代させる』と言ってきました。いずれ出馬する際に、首相秘書官という肩書きが“箔付け”になると考えているのでしょう。ただ、それが国民の目にはどう見えるかが分かっていない。

首相が率いる宏池会は自身に加え、林芳正外相ら世襲議員が目立ちます。寺田氏にしても、義祖父が元首相。こうした“ボンボン意識”が拭えないからこそ、躊躇いもなく、長男を秘書官に据えるような人事を行ってしまうのです」

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自分のオヤジに首相秘書官にしてもらったのでは、七光りといわれてバカにされるのではないか。いじめにあうのではないかと、私は心配してしまうのだが、ボンボン育ちは、そのような庶民感覚とは無縁なのであろうか。

岸田首相自身、日本長期信用銀行に勤めていたが、そこを退職して父親の秘書になっている。父親が亡くなると、地盤、看板だけではなく、父親の政治団体から計1810万円の政治献金を受けていたというから、金銭面の“カバン”も引き継いでいる。

それだけではないという。渋谷区の1等地に立つ高級マンションも父親から相続したもので、再開発に伴い、等価交換で複数の部屋を手にしたという。岸田首相は約92平米の一室を所有し、推定売買価格は2億円超といわれるそうだ。

広島の豪邸を「脱法的」な方法で相続

静岡県伊東市にも父親から相続した広大な別荘がある。そして広島には、延べ床面積370平米の豪邸があるが、この豪邸をめぐり不可解な相続が行われたと週刊文春が報じている。

1990年2月に父親名義で建物を新築したが、その2年後に父親が亡くなった。普通、不動産の所有者が亡くなると、相続人が名義変更をするのだが、父親の死後も、相続登記が行われなかったというのである。

「これまでは相続登記を行わなくとも罰則はありませんでした。ところが近年、所有者不明の土地が増加したこともあり、昨年四月に改正不動産登記法が成立。二四年度から相続登記が義務化されるのです」(司法書士)

これを受けてのことだろう。岸田邸の登記簿に“ある変化”が起こったそうだ。今年2月、1992年8月4日に母親が父親から建物を相続していたことに加えて、母親が亡くなった2020年5月1日に、岸田首相が母親から相続したと、同時に登記されたというのだ。

「法律の施行前ですから違法にはなりませんが、正式な所有者を登記すべきという立法趣旨からすれば、脱法的な相続と言われても仕方がありません」(同)